『大地のグラウンド』
(あや秀夫・著/日本文芸社)
(愛知県・4番コーチンホームラン)
野球本、と言っても本書は漫画である。主人公「大地純」は甲子園を夢見て野球名門校「愛晃学園」のセレクションを受け失格、合格者とのあまりのレベルの違いにショックをうけ、一時は野球を断念。県立の「つぼみ高」へ入学する。
そこで部員数の足らない弱小チームを率い、本気で「打倒愛晃」を目指すキャプテン猪瀬と出会い、再び野球へとのめり込んで行く。
「報われない努力なんか無い」と信じ、ひたすらに練習に打ち込む大地の姿が、いつしか周囲の先輩たちを巻き込んで行く。
春季地区大会、決勝まで進んだつぼみ高は二軍とはいえ愛晃を相手に4−3と勝ち越して迎えた9回、一軍選手を次々と出してくる愛晃に対して、控えすらいない満身創痍のつぼみ高ナイン…そして涙の敗戦。秋季大会Bシードを得たつぼみ高であったが大会を目前にして投打の柱、猪瀬を失う事に。どうなる! つぼみ高。
著者はかつて某少年誌にも野球漫画「ヒットエンドラン」を連載していた事があり、努力と熱意で成長する野球少年の心理を描くのに定評のある漫画家の一人と言えよう。