最近のダブルヘッダー事情

(千葉県・おかピー)

ダブルヘッダーとは、1日に同一球場で2試合行われること(原則、同一カード)で、20年ほど前には時期にかかわらず、割合多くみられた。が、近年は中止試合が10月に追加日程として組まれるケースばかりだ。

1989年以降(以下断りのない場合、記録の対象は1989年以降とする)で日程に組まれたダブルは全部で32回64試合。このうち中止試合を除いた実試合数は29回57試合(実試合数が奇数なのは、ダブル第2試合の中止が1例あるため)。1992年以降に限れば8回16試合と、ロッテ捕手陣の盗塁阻止率なみの数字(=限りなくゼロに近いってこと)となる。

チーム別ダブル実試合数は次の通り。

チーム 総試合数 ホーム試合 ロード試合
巨人 0 0 0
ヤクルト 2 0 2
横浜 10 8 2
中日 8 4 4
阪神 10 2 8
広島 10 6 4
西武 12 10 2
日本ハム 7 0 7
ロッテ 22 22 0
近鉄 14 4 10
オリックス 8 0 8
ダイエー 11 1 10

実にロッテのダブルの多さが目立つ。これは1991年までの本拠地、川崎球場のグラウンドが脆弱で雨天中止が多く、中止試合が追加日程として組み込まれたことが大きい。とはいうものの、この5年間の8回中4回が千葉マリンスタジアムのロッテ戦ということを考えると、ダブルとの縁がよぼど深いのかもしれない。

逆に縁遠いのが巨人。本拠地がドームだから追加日程が少ないというのが最たる理由だが、試合さえすれば儲かる巨人戦をダブルで組むのは効率が悪いと思われているようだ。

最近のダブルの少なさは、本拠地のドーム化による雨天中止の減少とリンクしている。ドーム球場(ただし1998年の西武ドームはのぞく)のダブルは0だが、意外にも屋外球場の神宮、神戸などでも0。今後、これらの球場で組まれれば希少価値がある。

1日の最多ダブルは2カードで、1989年10月12日の西武−近鉄(西武)、ロッテ−オリックス(川崎)など全部で7例(1990年10月8日の広島−ヤクルト(広島)、ダイエー−日本ハム(北九州)は後者が中止となったが数に含めた)ある。

1日の最多得点は1990年10月5日の近鉄が最下位ダイエー戦(藤井寺)で記録した25点。最少得点は1993年10月22日、シーズン最終試合における広島の0点。対戦相手の5位横浜に連勝すれば、同率5位を確保できたのだが、第1試合を0−1で落とし単独最下位が決まると、ショックのあまり(?)第2試合も0封負けを喫してしまった。

ダブルで優勝が決まったのは2試合。1991年10月13日の広島−阪神(広島)は1勝すれば広島の優勝が決まるという状況。祝勝会をグラウンド内で行なう予定だったので、第2試合で優勝が決まったのは広島にとってラッキーであった。

1998年10月7日の西武−近鉄(西武ドーム)は西武が優勝争いのライバル・日本ハムの勝敗次第で胴上げというケース。この日は日本ハムも並行してダブルを消化していたため、優勝決定の条件は少々ややこしかったのだが、お互いの第1試合の結果、西武が第2試合に勝てば優勝という状況になり、5−2で近鉄を下しあっさりと決めた。

また、直接優勝が決まった試合ではなかったが、1989年10月12日の西武−近鉄(西武)は凄いゲーム。第1試合で、近鉄が主砲ブライアントの3発6打点で6−5と西武を逆転で下すと、続く第2試合もレオ投を粉砕。勝敗によっては、西武の胴上げも見られたダブルを連勝し、近鉄は2日後に悲願を果たす。

ダブルと縁の深い川崎の本拠地としての最後の試合もダブルだった(1991年10月17日、ロッテ−ダイエー)。なお第2試合は雨天コールドゲーム。最後まで川崎の代名詞は雨だった。

日本ハム・落合(ビジターゲームのためセレモニーはなし)、大洋・田代、横浜・斉藤明夫、ロッテ・西村らの現役最後の試合もダブル。なかでも印象深いのは田代で、現役最終打席で阪神・葛西から満塁ホームラン(1991年10月10日、横浜)。個性派選手らしい派手な幕引きだった。


<追記>

2007年9月30日、横浜−ヤクルト(横浜)ダブルヘッダーが9年ぶりに組み込まれた。しかしながら当日は2試合とも雨天中止。結局この2試合は10月8日と10月9日にそれぞれシングルゲームとして組み直され、9年ぶりのダブルヘッダーは幻となった。

 

<付録>公式戦におけるダブルヘッダー試合一覧(1988年以降)

日付 カード 球場 第1試合 第2試合 備考(@第1試合、A第2試合)
1988.10.10(月) T−S 甲子園 ●3−5 ●2−8 A掛布引退試合

Bu-O 藤井寺 ○3−0 ○7−2  

B−F 西宮 ●1−3 ○4−3  
10.12(水) C−W 広島 ○6−1 ●4−6  
10.13(木) D−T ナゴヤ ○11−6 ○1−0  
10.16(日) W−D 横浜 ●4−5 ●2−4  
10.19(水) O−Bu 川崎 ●3−4 △4−4 A延長10回、L優勝決定
10.20(木) W−S 横浜 ○11−6 ○3−1  
10.23(日) B−O 西宮 ●2−4 ○7−1 A「阪急」最終試合
1989.10.4(水) O−L 川崎 ●4−14 ○7−4  
10.10(火) D−T ナゴヤ ○7−4 ●6−10  
10.12(木) L−Bu 西武 ●5−6 ●4−14  

O−B 川崎 ●2−10 ●2−14  
10.15(日) T−W 甲子園 ●2−5 ○3x−2  
1990.10.5(金) O−B 川崎 ○6−5 ●4−10  

Bu−H 藤井寺 ○13−1 ○12−3  
10.8(月) C−S 広島 ●5−9 ○2−1  

H−F 北九州     中止
10.9(火) O−Bu 川崎 ●5−7 ●3−4  

H−F 北九州 ○4−0   @6回コールド
10.14(日) O−F 川崎 ○8−5 ○8−3  
1991.10.10(木) W−T 横浜 ○8−6 ○10−4 A8回コールド、田代引退試合

L−H 西武 ○9−4 ○6x−5 A延長11回
10.11(金) D−C ナゴヤ     中止
10.13(日) C−T 広島 ●2−3 ○1−0 @延長10回A広島優勝決定
10.14(月) O−H 川崎     中止
10.15(火) D−C ナゴヤ ○9−1 ○5x−4  

O−H 川崎 △5−5 ○4−2  
10.17(木) O−H 川崎 ○7−3 ○5−4 A7回コールド、川崎本拠地最終試合
1993.10.10(日) C−T 広島 ●4−6 ○6x−5  
10.11(月) Bu−B 藤井寺 ○11−3 ●2−4  
10.20(水) YB−D 横浜 ●1−4 ●5−9  
10.22(金) YB−C 横浜 ○1−0 ○3−0 A斉藤明引退試合
1996.10.1(火) M−Bu 千葉マリン ○2−1 ●3−9  
1997.10.10(金) M−Bu 千葉マリン ●0−2 ●5−6  
10.12(日) M−H 千葉マリン ●2−4 ○9−0 A西村引退試合
1998.10.2(金) L−F 西武ドーム ○6−3 ○3−1  
10.7(水) L−Bu 西武ドーム ●5−6 ○5−2 A西武優勝決定

M−F 千葉マリン ○3−2 ○5−1 A落合最終試合
10.9(金) L−BW 西武ドーム ○3−1 ○6−2  
10.10(土) YB−D 横浜 ○2−1 ●4−5  
2007.9.30(日) YB−S 横浜     中止

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