観戦旅行にまつわる話

  (富山県・なあごSS)

野球観戦をするために関西や関東へ出かけるようなってから、今年(2001年)で8年目になる。地元の富山でも毎年プロ野球公式戦があるけれど(もちろん来てくれるパリーグの公式戦はほとんど行ってる)、大ファンのBW・佐藤義則投手(当時)の登板試合を目の前で見るには本拠地球場へも行かなきゃ、と思ったのがきっかけだった。

当時は遠く離れた知らない街に行くのは怖いと躊躇していたが、見られないまま引退されてしまったら一生後悔すると決心したのだった。

GS神戸をはじめ、大阪ドーム、藤井寺に甲子園、東京ドームだと、デーゲーム観戦なら日帰りで行き来できるのが分かり、BW戦がらみのデーゲームを1〜2ヶ月に1〜2試合の割合で出向くようになっていった。

願いは通い始めてから4年目の1997年6月14日、佐藤投手がGS神戸での対マリーンズ戦で先発登板で勝ち投手になられて、ヒーローインタビューも生で聞けたという最高の形で叶った。

他にも、1995年9月のマジック1で迎えたGS神戸での対マリーンズ戦で、満員の観客で熱気あふれた雰囲気に身をうずめて「このチームに注目する人が増えてうれしいなぁ」とジーンとしたり、BW選手に限らずいろんな選手の「プロ初記録・区切り記録(通算1000本安打達成など)」に偶然にも立ち会えては身内のように喜んで、野球ファンの醍醐味を味わったりもしている。

行動に移してはじめて、時間がかかったとしても、いつかは願いが叶うのかもしれないという事を実感した。

さて、移動手段は主に鉄道だ。マニアというほどではないけれど、大阪行き特急「サンダーバード」、上野行き夜行急行「能登」や上越新幹線〜特急「はくたか」などに乗車すると気分が高まってくるのを感じる。

当日券の特急自由席を購入して空いた席を探して座り、目的地の駅に到着するまでに窓の外の景色を眺めたり、文庫本を一気読みしたり、うとうとしたりしているのも列車に乗る楽しみのひとつだ。

普段は車がないとどこへも行けない所で暮らしているので、せめて旅行の時だけはのんびりと列車に身を任せていたい、と思うのである。

思い起こせば、初めて大阪駅や上野駅のホームに降り立った時は「広い所だなぁ」とは思ったが、ちっとも緊張しなかった。好奇心がおもむくままに駅構内や外周辺の通りを歩き回っていた覚えがある。

むしろ旅立つ日の前日までのほうが、費用の調達や荷物の準備は万全かだとか、体調をくずさないか、家族に何か起こったらどうしようか、現地で犯罪に巻き込まれやしないだろうかと、気がかりで落ち着かなくなる。

それでも、当日になって列車に乗ってしまえばほとんどの心配事は消えてしまい、ワクワクする気持ちだけが加速する。帰宅するまで何も連絡しなかったりするが、家族に土産の菓子折りを差し出して大目にみてもらうようにしている(笑)。

本当は休日ごとに、プロ・アマ問わず見たい対戦カードの試合を見に行きたいのだが、交通費がチケット代の6〜8倍(GS神戸の内野A指定席・FC割引料金2800円が基準)はかかるし、収入の大半を野球につぎ込むわけにはいかないので、現在は夢として取っておいている。

最初の頃は観戦さえ出来れば満足だったが、しだいに球場がある街の雰囲気も味わいたくなり、時間をつくって歩きまわって、お気に入りの場所を見つけていくのも楽しみだ。

神戸ならハーバーランドにメリケンパーク、南京町、東京なら浅草や上野公園周辺にはなるべく寄るようにしている。繁華街よりも、昔ながらの雰囲気がただよう場所が好きだ。海や河川沿いにいると和んでしまうのは魚座生まれだからかもしれないな(笑)。

ところで、ハプニングもいくつか体験した。

何気なく自動改札の機械に特急券と乗車券を重ねて入れたら、扉が出て行き止まり状態になるのはしょっちゅうだし、夜行急行を深夜2時過ぎまで待ったあげく安い自由席が満員で、朝まで通路に座り込む形で一睡も出来なかったりということもあったっけ。

これらは一人旅の出来事なので仕方ないなぁで済むが、連れがいたらえらい目に遭わせてることだろう。

宿泊先はビジネスホテルだ。室内施設が一通りそろっているわりには料金が安く、駅の近くにあるのがありがたい。周りにはコンビニもたくさんあるから困らない。ひと晩安心して眠れる場所として重宝している。

食事は、駅のホームの立ち食いそば店や通りすがりに見つけた喫茶店に寄ったり、コンビニでおにぎりなどを買ったり、球場内でコーラだけ飲んだりと、まず高級なところへは行かない(笑)気取ったところは似合わないし。

缶コーヒーと文庫本の観戦旅行は 自分に似合いの旅さ
だけど時々帰りたくなくなる
球場から立ち去るときには
私はただの野球ファンで
選手達のナイスプレーを見るのが楽しみ
この試合ももうすぐ終わる 楽しい時間が過ぎていく

観戦旅行の数日前に、浜田省吾のマキシシングル 「君の名を呼ぶ」の2曲目「演奏旅行」を何度も聞いて、替え歌までつくってしまいました(ファンの人が読んでいたら、ちゃかしてしまったようでごめんなさい。旅を歌う歌も好きなんですよ)。

試合が終わり最寄りの駅へと向かうときには寂しさが胸をよぎるけど、気を取り直して改札口をくぐって帰りの列車に乗り込む。「また近いうちに見に行けるよね」と、楽しかったひとときを思い返しながら帰路に就く。

こんなことを8年間繰り返しているが、どれだけ年齢を重ねても「観戦旅行」は続けていけたらいいなと思っている。

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