マリーンズキャンプレポート2003

(京都府・ふさ千明)

8連勤1日休みでまた8連勤というハードな勤務日程の代償として、2月14,15,16は3連休となった。せっかくなのでどこかへ出かけようといういつものパターンになったのだが。鹿児島行きを決意したのはマリーンズのためばかりではなく、2004年九州新幹線一部開業に伴い廃止が噂される寝台特急「なは」に乗っておきたいというのもあった。なので片道14時間かけての大移動。狭いながらも個室なので快適に過ごせて楽しかった。

着いて14日。この日はキャンプが休日なので鴨池球場には行かずに指宿に出向いて砂むしをしてみることにした。指宿砂むし会館の名誉館長として金田正一氏の写真が飾られていて驚いた。事情を聞いてみると「ロッテの監督時代に良くおいでになってまして、その縁で」ということであった。ここでまでネタが拾えるとは思わなかった。

その後市内に戻り、宿に荷物を置いて夕飯を食べに行く。鹿児島で一番の繁華街天文館のあたりをぶらつくと、「歓迎 千葉ロッテマリーンズ」の横断幕がアーケードにぶらさがっていてちょっと嬉しくなる。しかしそのすぐ後ろに「ジュピロ磐田完全制覇おめでとうございます」があり、ちょっと肩身が狭くなる。29年優勝してないもんなぁ…。

そのあと「だれやめ処焼酎天国」というお店で夕ご飯。とあるマンガで見て、鹿児島に来たら行ってみようと決めていたのだ。で、お通しのゴーヤーチャンプルや鰹の煮つけを食べたあと、鰹の腹皮、地鶏の刺身、つけあげなどなど。飲み物はもちろん焼酎。「薩摩小鶴」という銘柄を勧められたのでそれを頼むことに。この小鶴という名前は島津藩77万石の本拠地鶴丸城から取ったのか、はたまたお隣出水市によく鶴が飛来することからとったのか。たぶんどっちかただろう。小鶴誠さんを思いだしてしまった大タワケは私だけだろう。この薩摩小鶴にしたたかに酔った私は記憶を怪しくしたまま気がつくと宿で寝ていた。

2日目。窓に当たる雨の音で目が醒めた。毎度のことなので覚悟はしていたのだが…。それでもイヤになる。篠つく雨の中、鴨池目指して出発。宿から天文館通まで歩いて、そこで飲み物やらなんやらを買いだして。あとはバスで体育館前下車。球場風土記で「電停鴨池下車」と書いてあったのでそうしようかと思ったが、マリーンズ公式サイトの地図を見ると、雨天時の練習場である鴨池ドームは体育館前の方が近そうなのでこちらにしてみた。

着いてすぐ、マリーンズバスが現れた。福浦、ジョニー、小坂、ローズ…ぞろぞろ降りてくる。初芝に手を振ったら振り返してくれた。思わぬところで鏡コント成立である(笑)。最後にルーキー西岡が出てきたとき、そのあまりの細さに驚嘆する。某選手を見たあとだから余計にそう感じるのかも知れないが(笑)。

遠巻きに眺めていると、選手が集まって何やら話を聞いている。監督やコーチが話しているのかと思ったら、なんと小池パリーグ会長の挨拶だったそうな。会長、さすがマリーンズファン。そのあとウォーミングアップからダッシュ、キャッチボール、ノック、フリーバッティング等が行われた。狭いので交代しつつ、入れ替えは手際よく。動きがよかったのは加藤康介、西岡あたり。よく目立っていた。康介はアップの時から明らかに飛ばしていたし、西岡はノックもバッティングもよく声が出ていたし、特にバッティング時は他の選手との打撃音の違いに思わず引き寄せられた。と言っても一緒に打っていたのは原井、井上純らで主力組と聞き比べたわけではないのだが。

我らが初芝も、私の隣にいたおじさんから「あいつはどこにおってもわかる」とスターっぷり? を評価されていた。そういう意味ではローズも、すぐにいるかいないかが分かった。投手陣ではジョニーにどうしても目が行ってしまう。あとは渡辺俊介。この貴重なアンダースロー投手は面白いことにキャッチボールの距離が長くなるごとにボールの出所が低くなっていった。最初は普通のオーバーハンド、ちょっと離れるとサイド気味。そして一番遠いときがちょっと浅めのアンダースロー。全部ビミョウに球筋が違って実に楽しかった。

楽しい見学タイムは「サイン会、写真撮影会の整理券配りまーす」という声で終わり、あとはただ並んだ。待ってる間にマリーンズマークの袋に入ったガムがもらえた。券をもらうとドームに選手がいなくなっていたので県営球場の方へ向かった。ブルペンで復帰した園川コーチの姿に釘付けになったりジョニーとニアミスしたりしたあと、トイレに行きたくなったのでスタンドへむかった。

すると。知らぬ間に紅白戦が始まっているではないか。スケジュールが分からないというのは不便なもので、危うく見逃すところだった。早速バックネット裏に陣取り観戦モードになる。

紅組1番ライトサブロー、2番ショート原井、3番ファースト福浦、4番DHメイ、5番レフト垣内、6番サードショート、7番センター諸積、8番キャッチャー里崎、9番セカンド西岡、10番DH辻。

白組1番ショート小坂、2番センター波留、3番ファースト井上純、4番セカンドローズ、5番サード初芝、6番DH佐藤、7番レフト立川、8番キャッチャー清水将海、9番ライト寺本、10番DH渡辺正人。

紅白戦ならではの10人制。紅組では西岡やショートに注目し、白組は2〜4番がまんま旧ベイスターズ組なので思わずベイスターズファンの友人に電話。

「今ねぇ、鹿児島でロッテの紅白戦見てるんだけども」
『あ、行ったのか鹿児島』
「白組、2〜4番がなんかマシンガンになってて」
『あ、ローズ出てんだ』
「なんかねぇ、設定的にはスタメンでは3番がファースト佐伯で途中代走で井上純が出て、そのまま入ってファーストになったような感じ」
『あー、わかるわかる』

携帯電話駆使して何話しているんだと周りには思われたかも知れないが、せっかくなのでそのまま1回の裏まで中継する。試合経過としては、1回表紅組先頭のサブローが出塁し、さらに盗塁して福浦が粘りに粘ったあとセンター前に返して先制。白組も負けじと波留、井上純が連続ヒット。ローズ、2球目にラインドライブのかかった見事な打球を放つもファール。打ち直してショートゴロ。初芝もピッチャーゴロで無得点。

ちなみに、福浦の打席で私の1列後ろの席から「パパガンバレー」の声。振り返ると母親に伴われ小さな子供が声の主だった。「ぱぱ?」打っているのは福浦、投げているのは加藤。どっちも独身のハズだが…。後に判明したが、そのお子さんは受けている清水将海の娘さんであった。そして清水ファミリーの隣にいたのはなんとサブロー夫人中嶋美智代さん。多分昨日が休日だったので遊びに来て、そのついでに試合も観戦しているのだろうが、それにしてもビックリした。選手の家族とニアミスしたのはさすがに初めてである。「あなたのご主人年棒上がったからいいわよねぇ」とか会話していたので多分間違いないと思う。その後飛行機の時間の関係でご一行は3回の表あたりで途中退席。

試合の方に話を戻そう。2回表、先頭のショートが初球打ち、レフトへ高々と上がりそのまま無人のスタンドへ。紅白戦ながら来日第1号。続く諸積、ボテボテのファーストゴロだが、守る井上は雨だからか慣れてないためかうまく処理できず内野安打にしてしまう。里崎は三球三振。一死一塁で西岡。その3球目、諸積単独スチールも将海パパ娘の前で好送球。アウト。後ろの席、大喜び。しかしこの時西岡が棒立ちしておらず援護の空振りしていたらまた話は違ったかも知れない。こういうところはまだルーキーだから仕方ないのかも知れない。されど大物。これにめげず加藤の球を綺麗にセンター返し。辻ライトフライでチェンジだが、見所が多かった。白組はその裏わずか8球で三者凡退。

3回表ピッチャーは吉田に代わる。吉田、サブローを抑えたものの原井にレフト前ヒット、福浦にはファースト強襲のライト線ツーベースを打たれ、一気にピンチを招く。しかし吉田ここは年期の違いを見せてメイ、垣内を共に空振り三振に切って取る。

3回裏、紅組もピッチャーは小林宏之に。仕上がり順調なのか、バシバシ投げ込んで無失点。

4回表、ピッチャーは山崎健に。三者凡退とこちらも仕上がり順調な模様。

4回裏も小林はローズに大飛球を打たれ、諸積のナイスランに救われた以外は危なげなかった。ここで雨が強くなったためゲームセット。ちょうど集う会の開始時間が近づいていたためこれ幸いと鴨池ドームに戻る。もらった整理券にはアルファベットが書かれていて、その列に並ぶというシステム。1人の選手に集中すると大変なのでこういうシステムにしたのだろうが、やはり選びたいのが人情。私のA列は福浦だった。Bは西岡、Cはジョニー、Dは清水直行、Eは加藤。写真撮影会の方はFサブロー、G小坂、H立川、I寺本、Jコバマサ。どういう基準に基づく人選なのかが気になるところだ。

ちなみに注意事項として「サインは色紙、ボール等に限らせていただきます。メモ用紙等はご遠慮下さい」というのがあった。確かにいそうだ。そういう人。私は白のユニフォームに書いてもらった。サインをもらいながら「今年もこれ着て千葉マリンに応援に行きます」と言ったあとの福浦の「ありがとうございます」には、社交辞令ではない温かみが感じられた。サイン後、がっちり握手。

終了後、グッズ抽選会。ユニフォームやらタオルやらロッテ製品詰め合わせ(笑)やらの他にも使用済みバットやリストバンド、司会の人は「全てサイン入りです」と言っていたが、ロッテ製品詰め合わせには誰がサインしたのだろうか。ちなみに私は外れた。私の前と後の番号の人は当たっていたのだが。この辺の外し方は昔からなのであきらめも速い。外れた人は出るときに残念賞としてピンバッチやノートなどがもらえた。私はズーくんのピンバッチだった。

このあと観光しようと思ったが雨に随分当たってしまったので、大人しく宿に帰る。一泊したあと、特急「つばめ号」のグリーン個室に陣取り、広々とした空間を優雅に使いながら博多まで。そこから新幹線で帰宅。一番の目的であるマリーンズに関わる時間は短かったものの、その濃度たるやオフシーズンの空白を埋めるに十分であり、満足できた旅行であった。ただ、往復のルートに関してはオススメはしないが(笑)。

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