ある老兵からの手紙

(愛知県・4番コーチン ホームラン)

拝啓 ダラ球会の諸君
我輩は球場である。名前はまだ無い
といのは冗談で、我輩はナゴヤ球場と言う

我輩が生まれたのは昭和24年の1月なので今年(平成11年)で50歳になるのである
長年ドラゴンズのホームグラウンドであったのだが、まだまだ若い者には負けないつもりだったが寄る年波には勝てず、平成8年一杯でナゴヤドームという若造にホームグラウンドの座を奪われ、お払い箱になってしまった

この47年、色々な事が有った
火災で2回もスタンドを燃やしたのは日本中でも我輩だけである
台風で水没した事も有った(昭和34年)

一番思い出深いのはやはりドラゴンズが初の優勝を果たした年の事である(昭和29年)
名将天知監督のもと、杉下(元祖魔球王)・石川・西沢・杉山・・・
勢いに乗って西鉄を下し、日本一にもなったこの年は今も懐かしく思い出される

また、この年は中日スポーツが日刊として創刊された年でもある
今も名古屋圏では殆どの家庭で読まれていることは同輩として鼻が高い

数多くの選手が我輩の上で練習し巣立って行った
また不運にして芽が出ず失意の内に去って行った選手も数多くいる

今は老朽化のため外野の照明塔も取り払われてしまい、暗くなってしまった
おまけに外野席の一部も撤去される事になっている

我輩の今後の行く末を心配してくれるファンも数多くいたが安心して欲しい
お払い箱になるのではなく、グラウンドの広さをナゴヤドームの広さに合わせてドラゴンズ専用の練習場として生まれ変わるのである

今後も頑張って行くのでファンの皆もたまには我輩の所に遊びに来てくれたまえ

 

ナゴヤ球場より

我輩のファン一同へ

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