3月19日 ウ・イ交流試合 中日−巨人
(ナゴヤ球場)

(三重県・渡部 航)

いつかは一度はいってみたいと思っていた。が、今のいままでなかなか腰があがらずいけずじまいだった。二軍戦なんか、とかそういう意識はなかったが、まわりに二軍戦なんかをいっしょにいってくれそうなマニアックな友人がいなかったりで、ただなんとなく機会がなかったのである。

小さいころから父に連れられて始まった中日球場通い。そのころは野球などわからず試合も見ずに、通路をうろうろしながら下に落ちていたビールやジュースなどの栓を集めていたことはよく覚えている。

そのうち父が趣味と仕事での接待も兼ねシーズンチケットを購入。球場通いはエスカレートし、やがて今度はメジャー・リーグ観戦ツアーにも参戦。これまでメジャー11球場、国内フランチャイズ11球場制覇、日本シリーズからオールスター、ノーヒットノーラン、日米野球、日韓野球までいろんな所で、いろんなゲームを観てきた私だが二軍戦ということに関しては全くの初体験。

これも、もしダラ球会に入信(?)していなければ、そしてコーチン氏と出会わなければ、ひょっとしたら一生観なかったかもしれない。

コーチン氏からこの試合のことをきいたのは2月半ばごろ。いよいよ一週間前ぐらいになり、天気予報ではどうやら雨になりそうだと、それも昼からぐらいと・・・・最近のドーム球場慣れで野球を観にいくのに天気を心配したのは久しぶりだ。

当日は、やはり曇り空。向かう途中フロントガラスにポツリ、ポツリと。しかし前週、コーチン氏と休日がずれたため今年最初の観戦会に参加できなかったので、今日はなんとしても観たいと思っていた。そして幸いなんとか傘は使わずにすんだ。

いざ球場について入り口にむかおうとすると、コーチン氏にこっち、こっち≠ニ手招きされてしまう。どうやら入り口が変わったようだ。いってみると改装前のネット裏の特別席への入り口だけになったようで、2階の広いオープンデッキのゲートは、閉鎖されていた。

中へ入ってみると曇り空が残念だがパッと広がる土のグラウンド。屋外球場でのデー・ゲームとなると数年ぶりである。

1回裏、ジャイアンツの先発、西山がマウンドにむかおうとすると、ヘイ、ヘイ、ノーコンの西山先生のおでましだー≠ニいきなりきついヤジがとぶ。このヤジのせいかどうかわからないが、序盤から乱調の西山に幕田が初回先頭打者ホームラン。その後、李の満塁ホーマーなどで着々と加点し、ドラゴンズのワンサイドになってしまう。

そうこうしているうちに近くで火事があったらしく、消防車が走り回っている音が聞こえる。そしたら球場のすぐ外に集まってくるではないか。どうやら一塁側のスタンドのすぐ外のマンションから出火したようである。

場内騒然となり、スタンドのてっぺんまでいって火事の様子をみにいく人もでてきた。この球場は、過去に2回火事をだしている実績があり、よほど火事に縁があるのだろう。

さて印象に残ったシーンとしては、読売が初回からランナーが出ると積極的に走ってきて、先発マスクの藤井の悪送球も重なりことごとく成功。合計4個ぐらい決めたのではないだろうか。ずいぶん上とはちがうなぁと、二軍ではスピード&チャージを実行しているなぁと感心した(若手ばかりだからあたりまえかぁ?)。

あと最近たまにみかけるが、主審のストライク、ボールのジャッジのコールが遅いときがあった。中には、かなり遅い時もある。この日も目の肥えた年配ファンから審判、コール遅いぞ!≠ニおしかり声がとんでいた。

またドラゴンズが守備の時、三遊間へ痛烈なゴロがとび、ショートの森野が横っとびで好捕。一塁はセーフになったが、ここで一軍ならため息≠ェもれるが、ここ二軍戦ではよくとった!≠ニかナイスプレー≠ニこういう声がとぶ。ここではファンの目も育てる目になっているんだなぁと。

おまけとしてバックホームのボールがキャッチャー小田のミットをかすめ、ネクストバッターズサークルにいた幕田の顔に直撃して場内爆笑という珍プレーも! 私は観ていてふといつかのどこかの場面を思い出しそうになった。なんだろう? そう、あの場面が蘇えった。メジャー・リーグを観戦している時のことだ。

静かに淡々とゲームは進み、ひとたびファインプレーがでたり、また、ホームチームのチャンスになったり、点がはいったりすると耳をつんざくような歓声がわきあがるあの雰囲気だ。拍手の数や大きさこそ違いがあれ、雰囲気はよく似ていた。

ひと昔前の笛、カネ、太鼓ならまだかわいらしいものの、今の一軍でのゲームでは、外野席で最初から最後まで延々と数本のトランペットを吹きならし、そしてそれにあわせてまわりの客がメガホンどうしを叩きあって応援するという、非常にやかましいことこのうえないスタイルが浸透している。

今日の観戦で一番強く感じたことはといえば応援団がいなければこれほど静かに観れるものかと! これだけ静かだと打球音や選手の声、ヤジがこれほどよく聞こえるものかと! 

ところで李の姿をみて感じたが、ドラゴンズは守備重視のドーム野球だとか、機動力野球などといいつつも久慈を使わずに福留を使い、李を使わずにディンゴを使う。なんとなくめざすものに逆行しているように思えるのだが、ドラファンの方、いかがなもんだろうか。どこかの球団のように宝の持ち腐れにならなければいいのだが。

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