6月30日 日本ハム−西武
(東京ドーム)

(埼玉県・きめら・にせん)

その日、私は五月風れあん女史とともに東京ドームへ出かけた。予告先発で松坂が登板することがわかっていて、しかも金曜日で指定席Cが1000円と安かった(これが一番の理由、貧乏人の悲しさよ)ということもある。

それはともかく、横浜ファンの五月風女史が松坂を裏切り者呼ばわりしているから、当然のごとく一塁側指定席C券を買い、球場に入る。前に見たF−Bu戦の間違いなく3倍は客が入っている。27000人だそうだ。松坂ひとりで20000人近く連れてきているのか(驚愕)!

フライデーナイトフィーバーのCMがオーロラビジョンに流れ、ここで五月風れあん女史いわく、「岩本のポーズって仮面ライダークウガの変身ポーズみたぁい」。さすがに20代前半ではジョン・トラボルタは知らんわな。何を冷静に解説してるんだ、オレは。

この日は「小笠原デー」ということで小笠原諸島の皆様が踊りを披露した。小笠原本人も三振3個の4タコと一芸を披露してくれたが、それは後の話(芸じゃないって)。

試合が始まる。日本ハムは清水が先発。西武は1回に平塚のタイムリーで先制。どうも清水の立ち上がりが悪い。垣内にぶつけてしまい一死満塁のピンチもなんとかしのいだ。一方の松坂もまだおかしい。速球は140キロ前半しか出ないし、コントロールも悪い。「これは今日の試合は打撃戦かな」という予感が走る。

しかし、回が進むにつれ、よくなってくる両投手。特に松坂が凄い。2回、3回、4回、5回。ヒットを許さない。清水も4回と5回の満塁のピンチを0点に抑え、1−0の緊迫した試合が続く。

5回が終わり、「YMCA」の時間。酒に酔ったおっさんどもが踊る踊る。もっとも、私はあの踊りを逆立ちでやった豪の者を見ているので、その程度では動じない。

ついでにオールスターのCMも流れる。王監督と星野監督が木の一本橋でにらみ合うというものだが、私は初めて見た。つい「あれを民主党の鳩山党首と自民党の森総裁でやったらおもしろいだろうな」と言ったら、五月風女史にはたかれた揚げ句、ニッコリ笑って「その舌、抜いてあげるぅ」と言われた。

怖い

試合再開。6回、7回と回は進む。しかし、中盤の4・5・6回で8人のランナーを出しながら誰も返せなかった西武打線は重症。

7回裏、西武にビッグプレーが飛び出す。無死一塁で井出がバントしたがピッチャー前の小フライになる。松坂はこれをワンバウンドで取って一塁に送球し、ランナーも挟殺してダウルプレーにした。ノーヒットを続けている割には冷静だ。7回もあっさり終わらせる。ひょっとしたらノーヒットノーランを見ることになるかもしれない、そんな気がした。

8回の西武の攻撃中、「ピッチャー、がんばれー!」と酔っ払ったおっさん。五月風女史が一言、「日ハムファンなら名前ぐらい呼んでやれよー!」と返す。しばらくしてそのおっさん、「清水ぅー、がんばれー!」。五月風女史と顔を見合わせ「よし」(サムアップつき。ビシィ!)。

松坂はノーヒットのまま快調に投げ続け、8回も二死。迎えるバッターは金子。つまった投手前の打球だが松坂がはじく! ざわめく場内。記録は? 観客の目が一斉にオーロラビジョンに向けられる。判定は……「E」! 溜め息が球場のそこかしこから漏れる。8回も何とか終わらせ、あと3人というところまで来た。

そして9回裏。スコアは1−0のまま。最初の打者は片岡。松坂は直球でガンガン攻める。149、153、152。1球ごとに喚声が沸く。1回のあのメロメロぶりは擬態だったのか! 芸が細かいぞ、松坂!(そんなわけはない)

松坂はあくまでかわそうとしない。直球だけの熱い勝負。しかし、彼は若かった。いや、青かった。2−2からの6球目。151キロの直球を片岡がはじき返す。片岡のヒットへの執念は打球をセンター前に運んだ。

気落ちしたはずの松坂にオバンドーが襲いかかる。ライトへの大飛球。ノーヒットを逸した直後にサヨナラホームランを浴びた斉藤雅樹の再現か? だが、打球はライトスタンドの日ハムファンの元へは……届かなかった。松坂の勝利への執念が押し戻したか。

しかし続く島田が右中間を破る! これで一死二・三塁、1−0でさあどうするか……って片岡! なんでホームへ突入する?! 3mも残してタッチアウト。ヒットを打つのに執念を使いきってどうする! 

がっくり来た次の井出が三振を喫し、これでゲームセット。清水も6回以降はノーヒットだったが完投負け。でもよくやったと思うよ。だけど、この日の松坂は凄かった。うん。非常に見応えのある試合で大満足でした。こういう試合ばかりだといいな、と思った一日でありました。以上。

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