6月17日 ロッテ−ダイエー
(千葉マリンスタジアム)

(山梨県・早乙女修牙)

梅雨の真った只中の2001年6月17日、日曜日。千葉マリンスタジアムで千葉ロッテマリーンズ対福岡ダイエーホークスの一戦が行われた。尚、前日の勝利でマリーンズはカード5連勝で首位ホークスに3ゲーム差に迫っている。

天気は曇っているが、観衆も良く入っている。試合前にマリーンズ黒木投手の5月の月間MVPの表彰が行われた。先発はホークスが田之上、マリーンズは、私は加藤投手がこの日先発して来るのではないかと思っていたのだが、前々日中止になった関係かサンデー晋吾こと小野投手の予告先発であった。

試合が始まり1回の表、2アウトから3番井口が肘に死球で出塁。4番小久保、5番松中連続フォアボールでツーアウト満塁。ここで6番秋山がセンターに大飛球、諸積が右中間でなんとかキャッチ。2アウトだったので、捕球していなければ、走者一掃になっていたであろう、3点入れるのと3点防ぐのは同じ事なので、3ランホームランに匹敵する守備と言って良いであろう。

2回表、小野、先頭の7番城島にストレートのフォアボール、続く、前日2打数ノーヒットなのに何故かこの日8番DHで出場の野々垣が初球送りバントの構えから一転、2球目見事な右打ちで一・二塁間を破りランナー1、2塁。9番鳥越が今度はバントをしたが、ピッチャー前に転がり、城島が三塁フォースアウト。柴原がセカンドゴロでダブルプレー。小野またもバックのお陰で無失点で切り抜ける。

2回裏、マリーンズの攻撃は1回に続き三者凡退。ここまで0−0だが一方的にホークスが押している。3回表ワンアウトから3番井口がライト前ヒット。小久保の2球目に盗塁成功。まさに盗塁王独走である。小久保は外の変化球に三振に終わったが、松中がライト前にタイムリーヒット、ホークス遂に1点先制。秋山もセンター前で続き、さらに城島もセンターに弾き返し2点目。野々垣デッドボールでなおもピンチ。鳥越がサードに強い当たり。三塁手堀、前に落とすもその後落ち着いてファーストに送球。ようやくチェンジ。

3回裏、7番大塚レフト前ヒットで初ヒットでるも、8番橋本ライトフライ、9番酒井セカンドゴロで4−6−3のダブルプレー。

4回裏、1番小坂セカンドゴロの後、諸積センター前ヒット。3番福浦ライトにホームランかと思いきや、打球が意外と伸びずライトフライ。ボーリック、フォアボールの後、メイが田之上のカーブをバックスクリーン右にホームランして、マリーンズ一発で3−2で逆転。

5回表、ホークス、小久保レフト前ヒットで出塁。しかし松中がファーストライナーで小久保戻れずツーアウト。秋山センターフライでチェンジ。

5回裏、ワンアウトから橋本センター前ヒット、9番酒井セカンド強襲安打、小坂1−3から選んでフォアボール、2番諸積ライト前タイムリーヒットでマリーンズ追加点4−2。ここでホークスピッチャーが田之上から篠原に交代。篠原は福浦に犠牲フライを許すもボーリックをライトフライに打ち取る。

3点差を追い掛ける6回表のホークス、城島レフトフェンス直撃、大塚の処理が良く城島は1塁ストップ。野々垣もレフトオーバーの当たりを放ちランナー2、3塁。鳥越をピッチャーゴロに打ち取ったところでピッチャー藤田、キャッチャー清水将海にバッテリー交代。

小野は初回からヨレヨレながらもサンデー効果か勝利投手の権利を得てマウンドを降りた。藤田は篠原と同じ様に柴原にレフトへの犠牲フライを許したが、2番バルデスは三振に仕留めた。判定に不服なバルデスはヘルメットを蹴飛ばして悔しがっている。

7回表、マリーンズのピッチャー、吉田篤史に交代。7、8回は吉田でいくのか? しかし先頭の井口、狭い三遊間を突破するレフト前ヒット。小久保もレフト前ヒットで続きランナー1、2塁。小野コーチが1塁側ベンチから出てきてピッチャー交代。マリーンズにとってこれは誤算である。藤田はもう使っているのでここは山崎か? 山崎は同じ様な局面でプロ初勝利を挙げているが、バッターは松中、多少荷が重い場面ではある。

ところが場内アナウンスで告げられた名前は意外にも山崎ではなく、ここで加藤であった。ルーキー加藤リリーフでの登板は初めてだが、松中をセカンドゴロに打ち取り2塁フォースアウト。ここから右バッターが続く、キャッチャーの清水もベンチの様子を伺っているが加藤続投。元々先発ピッチャーなので右バッターにも通用するだろうという事か。加藤はその期待に応え秋山もセカンドゴロ、今度はダブルプレーが完成してチェンジ。

球場に晴れ間が差し込んできた8回表、7回裏に打順が回って来た福浦が退きファーストは山本。城島センター前ヒット、野々垣DH起用に応える今日3安打目のセンター前ヒット。城島判断良く3塁に進塁。ここで鳥越に代わり代打大道。次また柴原、バルデスと左バッターが続く為かここも加藤続投。ルーキーの度胸に賭けるマリーンズベンチと言うか控えのピッッチャーに信用が無いのか。

大道のショートへの打球は小坂のジャンプ及ばずセンター前へ。これで5−4。大道にピンチランナー浜名。1番に返り柴原がレフトへヒット、野々垣が生還しホークス遂に同点。バルデス、ピッチャー前へ送りバント。2番打者としては普通のプレーだがさすがにスタンドがざわめく。

加藤、井口にフルカウントからフォアボール。ルーキーでなくても苦しい場面である、内野手がマウンドに集まって来る。続く小久保は浅いライトフライ、これでは3塁ランナータッチアップ出来ない。松中への2−1からの4球目が高めに大きくすっぽ抜ける、清水後ろにそらさず良く捕った。松中の打球はレフトへ大きな当たり、レフト大塚は足はまだ万全ではないはずだが、逆転されてたまるかとばかりにフェンスに激突しながら打球をキャッチ。そして意地でもボールを離さない。大塚の体を張った守備でホークス同点止まり。

8回裏、ピッチャー吉田修司、ショート浜名。ボーリック、フォアボール  メイが見逃し三振をしたところで、吉田は岡本に交代。堀が送って、大塚敬遠、8番清水に代わり代打、佐藤幸彦。センター前ヒットかと思いきや、セカンド井口が良い所に居て、セカンドゴロチェンジ。

9回表、佐藤に代わりキャッチャーに福沢が入った。先頭の秋山、ライト前に今日チーム15本目のヒット、城島の4球目に加藤がボーク、城島が送りバントを決めて1アウト3塁。野々垣2ストライクからスクイズ敢行、打球は小フライとなり福沢ダイビングキャッチを試みるが及ばず・・・惜しいと思いきや、3バント失敗で三振なのである。

福沢は飛びつく必要はなかったのである、3人めのキャッチャーなのにケガしたらどうするんだ?五十嵐ももう居ないのに。ま、ベテランも必死だったのであろう。浜名に代わり林が送られたがショートゴロ、秋山残塁無得点。

同点のまま9回裏、林に代わりショートには、本間が入った。先頭の酒井1−3からフォアボール、小坂送りバントでワンアウト2塁。ここで王監督ライトに秋山に代わり大越を入れる。諸積の当たりは大きなセンターフライ、酒井はタッチアップして3塁へ。

ここで福浦の後にファーストの守備に入っていた山本に代わり代打、石井浩郎。石井、場内の大歓声に送られボックスへ。ピッチャー岡本の投じるストレートを全て打ちに行き、ツーストライク後もファールで粘りに粘る。フルカウントからライトにホームラン性の当たり。しかし惜しくもファール。尚もストレートで押すホークスバッテリー、そして岡本が投じた9球目。バットをやや短く持った石井が振り抜くと打球は美しいアーチを描きレフトスタンドに消えた。マリンに地響きのような歓声を遺して。

意外にもマリン初のお立ち台に立った、代打勝ち越しサヨナラホームランの石井がヒーローインタビューの後ライトスタンドのファンの前で照れくさそうに万歳三唱をしたのが印象的であった。

帰宅してからスポーツニュースを見るとライトスタンドのファンは沢山の人が泣いていたそうである。万歳の後、「山本マリーンズ」の合唱。ライトスタンドのファンはいつまでも帰ろうとはしなかった。

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