12月13日 東京−福岡〜マスターズリーグ
(東京ドーム)

(山梨県・早乙女修牙)

木曜日であるが、マスターズリ−グを観戦するチャンスはおそらくこの日しかないと思った自分は、仕事を早目に切り上げ特急かいじ号で東京ドームに向かった。 球場内に入ると板東英二さんの「燃えよドラゴンズ」が流れている。名古屋戦でもないのに何故? と思ったらそれは野球ソングを集めたCD「野球小僧」であった。OB野球の気分を盛り上げるのには役立っていたと思う。

試合に先立ち始球式が行われたのだが、顔ぶれがピッチャー新大関の栃東、キャッチャーがドカベンこと福岡の香川伸行、バッターは東京の矢作公一と言う重量級であった。 ちなみに体重は栃東144Kg、ドカベン125Kg、矢作120kgである。またこの始球式は1球のみでなく実際に栃東と矢作の勝負が行われ、結果はファーストゴロであった。  

さて両チームのスターティングメンバーは以下のとおり。

福岡ドンタクズ   東京ドリームス
カズ山本   蓬莱昭彦
高嶋 徹   佐藤 洋
松永浩美   安部 理
藤本博史   駒田徳広
岸川勝也   DH 森 博幸
小早川毅彦   石井雅博
DH 基 満男   鮎川義文
三村敏之   伊藤 勲
鈴木伸良   広瀬哲朗
小林聖始   高橋直樹

1回表 カズがライト前ヒットで出塁。高嶋送りバントを試みるが失敗し、結局外角の球を引っ掛けてしまいセカンドへの併殺打。3番の松永も見逃し三振。なお、場内には随時元TBSアナウンサー渡辺謙太郎さんの選手紹介等が流されるようだ。またトランペット等鳴り物による応援も無かった。

1回裏 蓬莱ライトフライ、前日決勝タイムリーを放った佐藤サードゴロ、安部ファーストライナーで三者凡退。スタンドからファーストを守る小早川に「現役の時よりうまいぞ〜」の声がかかる。

2回表 藤本サードゴロ、岸川三塁線を抜ける2塁打、小早川初球を引っ張りファーストゴロ。1アウトランナー3塁、基はフルカウントから高橋の高めのボールをセンターに弾き返すタイムリーヒット。福岡が1点を先制。そして基の指名代走にリーグ盗塁王市場孝之が起用される。なおマスターズリーグではDHとDHの代走の選手は再出場が認められている。三村の初球に早速、市場が2塁盗塁成功。55歳の基に続き、53歳の三村も1−1からセンター前ヒットを放ち2−0。鈴木もフォアボールで続いたが、カズショートゴロでチェンジ。

2回裏 先頭の4番駒田、初球をセンター前ヒット。森もあわやホームランかと思えるセンターオーバーの2塁打で2−1。石井ショートゴロで1アウト、鮎川に1-3となったところで森の指名代走に城友博が起用される。鮎川はフォアボールで歩き、伊藤1−0からレフトオーバーのタイムリーツーベース、東京が3−2と逆転に成功。広瀬はセンターに打ち上げたが、センター鈴木前進してくるも捕れずヒット、1アウトランナー1,3塁。しかし1番蓬莱キャッチャーファウルフライ、2番佐藤センターフライでチェンジ。

3回表 東京のピッチャーは白井康勝に交代。スタンドでは西鉄の球団旗が掲げられている。この回の先頭バッターは2番の高嶋。少年野球の監督をしているらしく、スタンドからは子供達の声援が飛んだがセンターフライ。子供達に良いところを見せることは出来なかった。松永空振り三振、藤本ショートフライでチェンジ。この回から前日初出場を果たした尾崎将司がファーストベースコーチに立ち、その場でサインした直筆サインボールをスタンドに投げ入れていた。

3回裏 安部ファーストゴロ、駒田空振り三振、森またもホームラン性の当たりを放つがライトフライで三者凡退。

4回表 岸川ショートゴロ、小早川セカンドゴロ、基の打球はライトに上がり、ライトの安部はスライディングキャッチを試みたが、捕れずツーベースヒット。再び代走に市場が起用される。市場は元力士とは思えない俊足で三盗に成功する。 しかし三村はサードゴロでこの場面は市場を還すことは出来なかった。

4回裏 石井2−1からセンター前ヒット、7番鮎川、スコアボードに表示された打率がなんと.063。ひ、低い…若いのに(31歳)。1年前まで現役だったのに…。しかしここは2−1と追い込まれながらもレフトに流し打ちノーアウト1,3塁。伊藤は初球、バットを折ってショートゴロ、石井が生還し1点追加、4−2。広瀬ショートゴロ、蓬莱セカンドゴロで1点止りで攻撃を終えた

5回表 鈴木センターフライで1アウトをとったところでピッチャー交代。左のカズということでマッシーこと村上雅則の登場である。カズは2−2からカーブをライト前ヒット、しかし続く高嶋がショートゴロでまたも併殺、無得点

5回裏 この回から高嶋に代わり2番センターに広永益隆が入り、鈴木がセンターからキャッチャーにまわった。しかし小林は4点は取られているがまだ続投している。大したスタミナである。この回も佐藤セカンドフライ、安部レフトフライ、駒田キャッチャーファウルフライに 打ち取った。

6回表 塁審の上着がジャケットからピンクのカーディガンに変わり、東京のピッチャーも三浦政基に代わった。松永レフト前ヒット、藤本の打ったフライをレフト、サード、ショートが交錯しながらもレフトが押え1アウト。岸川のセカンドゴロを広瀬がバックトスで処理し松永セカンドフォースアウト小早川セカンドゴロでチェンジ。

6回裏 ピッチャーはこちらも日本ハムOBの大畑徹に交代。 森がフォアボールで出ると、代走に再び城。大畑はワンポイントで高山郁夫に交代。城は石井の3球目に盗塁成功、しかし石井セカンドゴロ、鮎川ショートフライ、伊藤見逃し三振と後が続かず、城の盗塁を生かす事は出来なかった。

7回表 1塁ベースコーチに中西太コーチが入った。観客から「中西さ〜ん」の声援が飛び中西コーチも手を上げて応える先頭の基、センターに抜けそうな当たりを放つがセカンドの広瀬がジャンプして捕球。現役時代を彷彿とさせるプレーと言っていいであろう。三村は2−2からセンター前ヒット。鈴木に代わりバッター若菜嘉晴。高打率を誇る若菜はここでもライト前にヒットを放ち、ランナー1,2塁。土橋監督が登場してキャッチャーに状態を聞いた後、ピッチャー交代、松岡弘。松岡はカズをファーストゴロに仕留め、若菜が2塁でフォースアウト。2番広永のカウントが1−1になったところでカズが盗塁、2塁にヘッドスライディングし判定はセーフ。スタンドが大いに沸く 。しかし広永はショートゴロに倒れ、この回、福岡またも無得点に終わる。

7回裏 代打の若菜がそのままマスクを被り、高山をリードする。広瀬ピッチャーゴロ、全試合トップバッターの蓬莱レフトフライ、佐藤レフトフライ。福岡は前日も負けているので、今日は負けられない。逆転に望みを繋ぐ。

8回表 しかし福岡は松岡の前に松永セカンドゴロ。 藤本は自打球があった上(しかもかなり痛そうだった)ファーストファウルフライ。岸川センターフライに終わる

8回裏 この回、左が続く東京のクリーンアップトリオに対し、稲尾監督は左キラーの永射をマウンドに送った。永射は連投にも関わらず、安部をセカンドゴロ、駒田をファーストフライ、森をライトライナーに打ち取りベンチの期待に応えた。 東京の攻撃が2アウトになったところで松岡投手がベンチ前に出て来て、大矢選手とキャッチボールを始めた。渡辺久信が前日抑えで2イニングスを投げているのでこのまま松岡投手が9回も投げるようだ。

9回表 小早川セカンドゴロ、基センター前ヒット、三度代走市場。市場は次打者三村のカウントが1−0となったところでスタート。ヒット&ランの形になり、バットが折れて打球はセカンドへのゴロ。2アウト2塁となった。バッターは9番の若菜。1−0から市場は三盗に成功した。

カウント2−3からの若菜の打球はショートゴロ、ショート鮎川のグラブからボールがこぼれた! ファーストセーフかと思いきや、バッターランナーの若菜はあきらめて真剣に走っておらず、拾い直して送球してもゆうゆうアウト。4−2東京の勝利で試合終了となった。次のバッターがトップに戻ってカズであったので回っていれば盛り上っていたであろうに…。真剣勝負を謳うマスターズリーグにとっても、これは残念であった。ま、若菜選手らしいと言えばらしいが…。

それにしても東京は強い。ヒットは6本で福岡の10本より少なかったのだが、試合巧者と言うべきか…。グラウンドでは投打のヒーロー松岡と伊藤のヒーローインタビューが行われ試合は幕を閉じた。

マスターズリーグは「プロ野球の球場で行われるオヤジの草野球」などと言う意見もあり、世間の注目度もはっきり言って低いが、今日はしまった試合だったし、現役時代さながらの好守備も見られて良かった。それに自分が見た限りでは、古くからのプロ野球ファンと思しき方達はみな楽しそうであった。また自分にとっても、歳はとっていても往年のプロ野球選手達のプレーが、引退してもう見られないと思っていた選手達のプレーが間近に見られて、夢のような2時間28分であった。  

   
福岡  
東京  

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