9月9日 近鉄−ダイエー
(大阪ドーム)

(ふさ千明)

見よ、パリーグは熱く燃えている

この日はまず大阪のなんばへ行き、ライブチケットを入手。そのあと大阪ドームへ。 最初は『千と千尋の神隠し』を見に行こうかとか思っていたはずなんだが。 何かに呼ばれたのかも知れない。

で。 到着するとすでに外野席は販売停止(要は立ち見すら不可)。内野自由は立ち見。内野B指定全席とAの1塁側は完売。ホントに大阪ドームかここ! という疑問はさておき、さすがに3800円払う気にはなれなかったので立ち見覚悟で内野自由へ。空席探して諸々不愉快な目に遭いながら上段席で何とか確保。 すでに試合は3回を終了していた。

5−0でバファローズリード。圧倒的。ノリのホームラン2発ってのがいかにもである。 ホークス先発の若田部は既にマウンドを降り、佐久本があがっていた。バファローズのピッチャーは現在売り出し中の岩隈。

見ると岩隈のピッチングも見たところ安定しているようでありこれはこのまま行くかな、と思いはじめた矢先。5回表にまず1点を失い、6回表の頭から小久保・松中と連打を食らったところで降板。 盛田登場。この時の1塁側の盛り上がり方が微妙だったのが、序章だったのかも知れない。

城島、バックスクリーンへスリーランホームラン。 関口に代わったところで代打大道。左殺しの名の通りきっちりヒットを放ち、本間が送りバント。村松倒れて柴原の場面、ピッチャーゴロを関口が悪送球。2死1,3塁。バルデスがセンターへライナーを放つ。これがワンバウンドでグラブに入った(私の位置からだとダイレクトに見えたという微妙な当たり)ため大道生還。ホークスはあっという間に5点差を追いついた。

6回裏下位打線であったためか無得点。この間、空腹を覚えた私は買い物に出た。もちろんカレーである。ここのカレーは600円のわりにボリュームは微妙だが、ルーが美味しいので合格点。具の肉はお勧めできないが、充分美味しい。

7回表も同様に下位打線からで、無得点。 そして7回裏、ホークスは吉田修司を投入。 その前に1塁側は大いに盛り上がって、みなで応援歌「ドリーム&パワー」を熱唱。 なぜなら1番からの好打順。さらに言えばホームランのパリーグ新記録がかかったローズに回る。 期待が膨らんだ。

しかしあっさり大村・水口と倒れツーアウト。ローズ登場。ファール、ボール、ファール、ボール、ボールでツースリー。 そして6球目。

球史に残る一撃は大きく弧を描きライトスタンド上段へ突き刺さった。 53号ホームラン。 追いすがるホークスを突き放し6−5。 このあとノリも右中間にツーベースを放ち、猛打賞。磯部のサードゴロでチェンジとなるも、貴重な追加点。

8回表からは守護神大塚が登板。下位からの打線をきっちり3人で切って取る。 その裏。ホークスも岡本投入。
吉岡からの打順なのだが「♪ローズに回せ、吉岡」コールに思わず笑う。 しかし三者凡退となり、6−5と最小リードのままラストイニングを迎えた。

先頭のバルデスはライトフライ。井口は空振りの三球三振。三球目はなんと151キロ! ストレート三つてのはいかにも粋である。そして、小久保を迎える。

ホークスファンは閉店間際の大逆転を信じて、大声援。バファローズファンも負けじと大塚コールの声・声・声。一球目空振りのあとファール、ファール。三球目は152キロを表示した。剛速球を鋭いスイングが弾いたときのみ生まれる強烈なファールボールに固唾を呑む観客。

そして四球目。小久保のスイングは空を切った。空振り三振! ゲームセットである。 この対決、非常に迫力があった。 そしてこの試合、Bu5−HからBu5−HになりBu6−Hになるというイカス展開の上、決勝アーチはパリーグ新記録となるローズの53号で満悦至極だった。

さらにかっこよかったのは中村紀洋の「ダイエーは強いです。さすが王者です。でも、優勝するのは近鉄です」と言いきったヒーローインタビュー。

大いに湧くバファローズファン。私も拍手喝采。バファローズファンでもないくせに、と内心苦笑しながら。でもノリは大好きな選手だ。これは胸を張って言える。 見に来てよかった。

久々に見ていてゾクゾクする試合だった。さすが首位攻防。我が選択に悔いなし、である。 満員のため退場制限とも言うべき誘導がつき、ならばとのんびり席に座り余韻を楽しんだ。目をつぶれば強烈な印象を残した場面が浮かんでは消える。

そして、ようやく人並みが減ったところで帰途につく。この日、JRの最寄りである大正駅は試合終了後しばらくホームへの立ち入り制限が出たとのこと。

途上、みな口々に試合を反芻し、子供はローズやノリのスゥイング模写に余念がない。 見よ、パリーグは熱く燃えている。

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