10月14日 ロッテ−西武
(千葉マリンスタジアム)

(山梨県・早乙女修牙)

10月14日体育の日、千葉マリンスタジアムで西武ライオンズの今季最終戦となる 千葉ロッテ-西武戦が行われた。 この試合で注目は何と言ってもライオンズ・カブレラ選手に ホームラン・シーズン日本新記録56号が出るかどうかである。 混雑が予想されたので、早めに(11時半頃)球場に到着すると、 カモメの窓口には既に当日券を求める人の長蛇の列が出来ていた。チケットを確保し、球場内に入るとスタンドの人の入りはまださほどではない。  

両チームの先発メンバーが発表される。

<西武ライオンズ> 3カブレラ 9小関 D犬伏 6松井 5エバンス 8宮地 7佐藤友 2野田 4高木浩 P松坂  
< 千葉ロッテマリーンズ> 9諸積 4堀 3福浦 Dメイ 5初芝 7佐藤 8立川 2里崎 6渡辺正 P高木  

1番ファースト・カブレラのアナウンスに場内大歓声、4番には松井。 弁慶高校戦で岩鬼と山田を入れ替えた明訓高校みたいだな…。予想はしていたが、伊原監督はこう言う事はやらないかと思っていたので少し意外だ。 しかもホームラン狙いでホームランバッターの打順をあげても、打った試しが無いと思うのだが、さて今日はどうだろうか。  

グラウンドでは9月の月刊MVPを受賞したミンチー投手の表彰式が行われている。 ミンチーは今日勝てば、バファローズのパウエル投手と並んでの最多勝も狙えるので 今日の先発とばかり思っていたのだが、昨日付けで登録抹消されている。何故だ? 欲がないのか?

国家斉唱の前に56号が出た場合、野球体育博物館にボールをと展示するので ボールの提供を求める放送があった。 ジュニアマリーンズ会員による始球式、本来ならバッターは1番のカブレラなのだが始球式の事まで頭が回らなかったのか、バッターは2番の小関が務めた。

1回表  プレイボールがかかり、早速カブレラ登場、ストライク、ファールの後、ファーストフライ。福浦が清水とぶつかりそうになりながらも捕球。小関1−0からセンター前ヒット。レフトスタンドに「猛犬注意」のプレートが掲げられ3番犬伏登場、センター前に落ちるポテンヒット、1アウトランナー1,2塁打率.330 ホームラン36本と実際に4番を打ってもおかしくない成績の代理4番松井だが、ここはセカンドライナーが1塁ランナー帰塁出来ず併殺となりチェンジ。

1回裏  マウンドにはチーム90勝をかけて8月16日以来59日振りに松坂が上がった。日本シリーズを見据え、ジャイアンツ打線を想定して投げると本人は語っていたがよほど思い込みの激しい性格でないとそれは無理だろう。諸積はファーストゴロに倒れたが、堀ライトフェンス直撃二塁打、福浦初球の高めのボールをセンター前にタイムリーヒット、メイにはフルカウントからストレートがすっぽ抜けフォアボール、1アウト1,2塁初芝のレフトフライを佐藤友が一度グラブに入れた後ポロリ…湧く場内、しかしセカンドランナーの堀はハーフウェイを取っておらず、三塁封殺、レフトゴロである。佐藤幸彦フルカウントからサードゴロでチェンジ。松坂は球速は150km/h近く出ているが、球にキレが無いのか、打者から見易いのか日本シリーズに不安が残る。

2回表  エバンス、ショートゴロ、宮地セカンドゴロ、佐藤友ショートゴロ、渡辺正人打球に追い付いたがファンブルし1塁セーフ。内野安打。野田に1−0の時、ファーストランナーが飛び出し、1,2塁間に挟まれる。高木が直接タッチしてチェンジ。狭殺プレーでピッチャーが直接タッチというプレーも珍しい。こういうプレーが後々カブレラの打席にどう影響するか…。

2回裏  立川・里崎ショートゴロ、正人見逃し三振。本調子ではないと言え、下位打線では松坂攻略は難しいか。

3回表  野田センターフライ、今日が誕生日の高木浩之、レフトスタンドから「ハッピーバースディ」が流れ、スタンド全体で祝福。打撃結果はレフトフライ。1番に戻って、カブレラ、1ボールから打ち上げて浅いライトフライ。トリプル外野フライ(?)でチェンジ。

3回裏  諸積フルカウントからキャッチャー後逸し、諸積振り逃げ。堀、送りバントを失敗し強攻に切り替え、ライト前ヒット結果オーライのランナー1,2塁前の打席で打率を遂に3割に乗せた福浦、良い当たりだったがセンターフライしかしメイがライト前にタイムリーヒットを放ち諸積生還、堀も今度は三塁に進み 1アウト1,3塁 2−0。キャッチャーの野田がマウンドに行ったのが功を奏したのか初芝、ファーストファウルフライ、幸彦ショートゴロでチェンジ。またしてもマリーンズ1点止まり。

4回表  小関セカンドライナー、犬伏センター前ヒット、松井フルカウントからライト前ヒットエバンス2−1からセンターに大きな当たり。打球はバックスクリーンに飛びこむ逆転スリーランとなった。宮地の代打、中島裕之サードライナー、初芝の捕球に場内大拍手。佐藤友ショートゴロでチェンジ。

4回裏   代打の中島裕に代わって6番センターに上田が入った。立川レフトフライ、里崎フォアボール、諸積ライト前ヒット、ランナー1,2塁。堀のカウント2−1の場面で松坂がセカンド牽制、里崎飛び出しているが帰塁し間一髪セーフ。結構この選手の走塁にはハラハラさせらられる。しかし、堀空振り三振で無得点。

5回表  野田ファーストファウルフライ、高木浩ファーストゴロ、1番カブレラ登場。いつの間にか満員になっているスタンドから大拍手が起こる。カブレラは初球をレフト前に打ち返す。一斉に観客は深い溜息。ヒットを打ってこれだけ観客を落胆させる野球を見たのは初めてだ。小関ショートゴロでチェンジ。

5回裏  ライオンズのピッチャーは松坂からここまで9勝を挙げている張誌家に交代。福浦センターフライ、3割が遠くなる。メイ、フルカウントから空振り三振。初芝に三塁線を破る二塁打が生まれたが幸彦はセンターフライでチェンジ。

6回表  マリーンズのピッチャーも小林宏之にスイッチ。小林は犬伏の代打、高木大成を三球三振、松井にセンターオーバー二塁打を許したが  エバンス空振り三振、上田の代打、鈴木健も見逃し三振で切り抜けた。

6回裏  鈴木健に代わり6番センターには大友が入った。立川ショートライナー、里崎センターライナー、渡辺正ショートゴロであっさり攻撃終了。

7回表  ライオンズのラッキー7、一人ランナーが出れば、カブレラに回るので場内の雰囲気も盛り上る。この回先頭の佐藤友1−1からセンター前ヒット。野田3球バントを試みるが全て失敗。しかし次打者高木浩1−1の時ワイルドピッチがあり、ランナー二塁進塁.。高木は2−3からセンターフライで2アウト2塁。異様な雰囲気の中、カブレラがバッターボックスに向かう。

ここで、マリーンズ小野コーチがマウンドに行く、まさか「敬遠の指示」か?  カブレラ56号挑戦の最後のチャンスかもしれないこの打席で歩かせたりしたら批判とブーイングの嵐だが…。小野コーチがベンチに戻っても、キャッチャーの里崎は立ったまま、1塁側からも「里崎座れ〜!」「勝負しろ〜!」の声が飛ぶ。すると、まるでその声が届いたかのように里崎が座った。場内の至る所から勝負を称える大歓声が巻き起こる。

小林宏、注目の第1球は外へのスライダー、空振り!  続いて第2球、同じくスライダー空振り。バッテリーは果して3球勝負に出るか、満員の観衆は歴史の証人となるか、ピッチャー第3球を投げた。スライダー! 空振り三振!  1塁側とライトスタンドはまるでマリーンズが勝った、いや優勝が決まったかのような大声援、大拍手の嵐だ。小野コーチがマウンドに行ったのは「1塁が空いているからといって歩かすな」という指示だったそうである。里崎も座るのをわざと遅らせ盛り上げたらしい、役者やのう…。

7回裏  ラッキー7でもあり、この雰囲気に乗って、逆転といきたいマリーンズ。諸積セカンドゴロの後、堀がフォアボールで出塁、ピッチャーが土肥に交代。福浦ライト前ヒット1アウト1,2塁。福浦の打率も3割に再び乗り盛り上がるスタンド、福浦にピンチランナー澤井。 しかし4番メイが三塁ファウルフライで2アウト、ここから右バッターが続くので右投手に交代だろうと思ったが、動きはない。初芝が三塁側ベンチの動きを伺いながら打席に入るとようやく、ライオンズベンチが動き、ピッチャー森が告げられた。7回といつもより出番が早いので、まだ準備が充分に出来ていなかったのであろう。森は初芝を21から見逃し三振にとり、チェンジ。マリーンズには1点が重い。

8回表  澤井がそのまま3番ファーストに入り、ピッチャーは藤田。小関ショートゴロ、高木大成レフトフライ、松井セカンドゴロ。三者凡退カブレラにはもう打席は回らないのか…。

8回裏  幸彦1−0からセンター前ヒット、代走に於保。立川が送りバントを決めて1アウトランナー2塁、里崎に代わりピンチヒッター喜多、あっという間に2−0と追い込まれたが、3球目をなんとか当ててショートゴロ、松井の送球より僅かに脚の方が早く、ショート内野安打。1アウト1,3塁。渡辺正に代わりバッター吉鶴登場、「最悪でも同点に」の期待がかかったが カウント2-2から見逃し三振、仕事が出来なかった吉鶴(吉鶴選手は全試合終了後戦力外が決まりこれが現役最後の打席となった)。諸積もレフトフライに終り2者残塁でチェンジ。

9回表  6番レフトに於保がそのまま入り、8番ライト喜多、9番ショートに今江 、1番キャッチャー清水将海、ピッチャーは吉田に代わった。エバンス空振り三振、大友セカンドゴロ、佐藤友セカンドゴロ。

9回裏  ピッチャーは豊田に交代、マリーンズが同点に追い付き、延長戦に入れば10回はカブレラに打順が回るのだが、果してどうか…。先頭の堀、空振り三振、澤井空振り三振、4番の意地を見せるかメイ…。2−2から空振り三振。ありゃりゃ三者三振で試合終了。ファーストに打球が行くとわざとエラーされるかも知れないと思った訳ではなかろうが、豊田の見事なピッチングであった。

狭殺や併殺が無ければもう1打席カブレラに打順が回ったかも知れない。1番に上げた効果も無かった。それに4番バッターを1番にするなら、他の打者の打順も3つづつ上げれば良いのにと思うのは自分」だけだろうか。カブレラの56号、三冠王はならなかったが、西武ライオンズはこれで90勝到達、 貯金41は驚異である。張も来日1年目で10勝投手となった。 試合後は外野で観戦していた、ダラ球会のよしたにさんとよしたにさんのお友達と お茶を飲みながらこの日の試合の事等を語り合い、お開きとなった。

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