8月1日 近鉄−ロッテ
(大阪ドーム)

(京都府・ふさ千明)

予告先発はマリーンズはミンチー、バファローズはロドリゲス。外国人同士の投げ合いはもう近年珍しいものではなくなった。特に感慨もなく、どちらかと言うとここまで3勝0敗のロドリゲスをマリーンズ打線は打てるのかと言う方がよっぽど気になる。もしくは味方が打てるまでミンチーは持ちこたえられるのか。

試合開始前に例の「レッドdeハッスル」が流れていた。今日はフェンス際まで身を乗り出してオーロラビジョンを見てみた。確かに面白いのだができれば「白いボールのファンタジー」も聞きたいのだが…。と思ったら10分後にちゃんとやってくれた。

先攻マリーンズのスタメンは、
1番レフト井上純、2番センター波留、3番ファースト福浦、4番DHフェルナンデス、5番サードショート、6番セカンド堀、7番ライト立川、8番キャッチャー里崎、9番ショート小坂、ピッチャーミンチー。

後攻バファローズ
1番センター大村、2番セカンド星野、3番レフトローズ、4番サード中村、5番DH川口、6番ファースト北川、7番ライト鷹野、8番ショート阿部真、9番キャッチャー藤井、ピッチャーロドリゲス。

バファローズはまさに「どこからでも点がとれそうな打線」というやつだ。マリーンズは逆にどこで点とったら良いのか分からない打線。なんだかやる前から勝負が見えているような気もしたが打線の分はピッチャーが頑張ってくれるだろう。きっと。

プレイボール。
1回表。
井上純、右中間を割る好打。快足を緩めず駆け抜けてスリーベース。初回、いきなりのチャンス到来と言うマリーンズにはないパターンに喜び勇むレフトスタンドの一同。犠牲フライでも先制というこの好機。波留空振り三振。福浦も空振り三振でツーアウト。やっぱりマリーンズはチャンス=ピンチなのか。

バッター、フェルナンデス。初球ボール、2球目もボール。これが外に大きく外れて藤井が捕れない。それを見て井上がホームを狙うが藤井素早くボールをつかみ三塁へ送球。タッチアウト。ちぐはぐな攻撃パターンで無得点。チェンジ。

1回裏。
大村内外野の隙間にポテンと落ちるラッキーヒット。星野レフトフライで一死一塁。バッターはローズ。初球ボールのあとの二球目を振り抜いてレフトスタンドのセンター寄りに放り込んだ。先制ツーランで2−0。中村ライトフライ。川口センター前ヒットで出塁も北川センターフライでチェンジ。ヒットのあとの一本が出るか出ないか。分かりやすい形で主軸の差が出てしまったようである。

2回表。
三者凡退。

2回裏。
三者凡退。

3回表。
先頭バッター立川の登場に合わせ、レフトスタンドのマリーンズファンが「SANBA DE JANEIRO」を応援団のトランペットに合わせて歌う。この光景お馴染みになりつつあるが、そのうち楽器増えたりしてもっと大掛かりになると笑うのだが。その立川、サードフライ。里崎ツースリーからセンター前ヒット。小坂フォアボールでまたも得点圏にランナーが進む。一死一、二塁。

井上空振り三振。波留の打球はぼてぼてのショートゴロ。ぼてぼてすぎてタイミング的には微妙だったためか、阿部が焦って取りこぼす。オールセーフで二死満塁。期待の福浦、初球を打ってレフトフライでチェンジ。青息吐息。

3回裏。
一番からだったが三者凡退。ミンチー立ち直ったようである。

4回表。
フェルナンデスショートゴロ。ショートのピッチャー返しはロドリゲスのグラブを弾きショート内野安打に。堀、粘り抜いて執念のレフト前ヒット。一死 一、二塁。しかし立川キャッチャーファールフライ、里崎も打球は痛烈ながら星野に好捕されてセカンドゴロ。ランナーは出せてもあと一本が出ない。チェンジ。

4回裏。
中村、川口、北川と強打者続いたがことごとくミンチーにタイミング外され三者凡退。ふがいない打線の奮起を辛抱強く待つミンチーに心からの喝采を送った。

5回表。
小坂がフォアボールで出るも井上純ライトフライ、波留セカンドゴロ併殺でチェンジ。ミンチーの心中察するに余りある。

5回裏。
この回も三者凡退。本当にくじけないミンチー。良い意味でのマイペースピッチングが続く。

5回の攻防が終了すると、またも始まった「レッドdeハッスル」。何回聞いても同じところで笑ってしまうのは、できが良いのか、はたまた私に問題があるのか。

6回表。
福浦空振り三振でワンナウト。バッターはホームラン数ではローズの半分しかないがそれでも期待のホームランバッター、唯一と言って良い長距離砲ホセ・フェルナンデス。そろそろなんとかしてくれよ、という切なる願いが届いたか。ホセの打球は我々の待つレフトスタンドへ。反撃の一矢、ようやく放たれ2−1。堀、ショートと凡退したがこの一発は空気を大きく変えた。ミンチー、あと少しの辛抱だぞ。

6回裏。
一番大村からだったが、またも三者凡退。気が付けば2回以降はずっと三者凡退。

7回表。
開始前に毎度毎度のウィラブマリーンズ&Take me out to the ballgame。ラッキーセブンなんぞ信じていない私だが、今日だけは祈った。「ミンチーのためになんとかしてくれ」と。先頭の立川に代打諸積がコールされた。立川がいかに未完の和製大砲とは言え、今の状態では期待できない。代打は賛成だ。

諸積センター前ヒットで代打策成功。里崎きっちり送って一死二塁。バッターは小坂。ヒット一本で良いのだから転がしてくれ、と言う願いは届かず、小坂フルスイング。打球はなぜかグングン伸びてなんとライトスタンドに!小坂の今シーズン第一号ツーランで3−2。ついに逆転。ロドリゲスもノックアウトで小池がマウンドに。小池の前に後続倒れたが小坂のアーチの余韻にまぎれてしまって、ほとんど覚えていない。

7回裏。
一点を追うバファローズのラッキーセブン。ドリーム&パワー歌って意気軒昂のライトスタンド。いてまえ打線をもってすれば一点くらい、と思うのも至極当然だろう。マリーンズ、代打した諸積そのまま入ってライト。この回先頭の中村ライト前ヒットで口火を切る。続く川口の打球も痛烈だったがアンラッキーにも福浦のグラブにダイレクトですっぽりおさまってしまった。福浦そのままファーストベース踏んで中村戻れず。あっと言う間にツーアウト。

なんだか超越した力をもつ何者かが無理矢理マリーンズを勝たそうとしているんじゃないかというくらいマリーンズ有利な試合展開。と思ったら北川の打球はピッチャーマウンドで跳ねて今度はバファローズにラッキーヒット。ホントにこの世はよくできている。しかし鷹野空振り三振で結局スリーアウト。

8回表。
ピッチャーは三澤に代わる。先頭の福浦ライト前ヒットででるもフェルナンデスショートフライ、続くショートの打席で福浦何と盗塁を試みるがタッチアウト。ショートもセンターフライでチェンジ。こんな展開なのにリードしているのか…。

8回裏。
ピッチャーはマリーンズ自慢のMr.腕ぐるぐる、シコースキーに代わる。阿部セカンドゴロ。藤井には代打益田が告げられデビルマンのテーマに乗ってバッターボックスへ。ホントにアニメソング好きだなこのチーム。益田、それこそ鬼神が憑いたかのごとき鋭い打球で左中間を綺麗にやぶった。 みごとなツーベースで一死二塁。大村の登場に合わせライトスタンドも「根性見せたれー」応援に切り替える。確かにここが根性の見せ所だろう。

しかし。根性ならシコースキーも負けてはいない。150キロ級の渾身ストレートでミンチーの粘投に応える。根性対決、シコースキーに軍配あがって大村ショートゴロ。星野もサードファールフライでチェンジ。シコースキーにライトスタンドみんなで拍手した。

9回表。
代打の益田に代えてキャッチャーに的山が入り、ピッチャーは吉田豊彦に。元南海ホークスの吉田豊彦。そう思うと非常に感慨深い。吉田、いきなり堀にライト線へ運ばれる。ツーベースとなって無死二塁。代走早坂。そしてバッターは諸積。そういえば右左右左のジグザグになんでいきなり左の吉田だったんだろうか。一人一殺とか平気でやってくる梨田監督にしては珍しいと思った。

さらに珍しいことには、打席の途中でライトを鷹野から礒部に代えている。これも珍しい光景だ。以前イニング途中の守備交代について「恥かかすからやっちゃダメ」とおっしゃっていたのは広岡氏だったが。鷹野の心中察するに余りある。諸積は結局ピッチャーゴロ。里崎ストレートのフォアボールで一死一、二塁。小坂空振り三振でバッターは井上純と言うところで代打が。「バッター、初芝」

うぉおおおおおおおー。想像以上の大歓声。なんだかんだでみんなやっぱりこの人を見たかったんだ。この人を待ってったんだ。嬉しい、嬉しいぞ。耳を聾せんばかりの初芝コールの中、ピッチャーは高村に。高村、心の準備ができていなかったのか、いきなりノースリーにしてしまう。そのあと一球ストライクを置いての五球目。初芝、右打ち! 不意を討たれたかのように礒部が慌ててボールを追うが、良いところへ転がったためなかなか追い付けない。これをみてなんと初芝セカンドベースを蹴った! 三塁めがけて激走、猛走。ボールが帰ってくるが間一髪セーフ。

なんと初芝のスリーベース! 小坂のホームランとどっちが貴重なんだろうか。またこのとき、代走の原井と代わってベンチに帰る初芝に「おじいちゃん、よくはしったー」て声かけていた女性が居て、思わず吹き出した。このタイムリースリーベースで5−2。コバマサのことを考えると、かなり安心モード。

続く波留もセンター前ヒットで原井ホームイン。6−2。福浦ファーストゴロでようやく攻撃終了。この回の攻撃はなんと言っても初芝に尽きる。心底来て良かったと思える初芝の活躍。これを書いている今でも、目をつぶれば鮮明にまぶたの裏に浮かんでくる。あの走塁も含めて。やっぱり初芝は、マリーンズのスターだ。

9回裏。
ピッチャーは小林雅英がコールされる。この名前を聞くだけで安堵感がただよってしまうレフトスタンド。当然ながらあきらめていないライトスタンド。同時にキャッチャーも清水将海に代わる。センター早坂、波留がレフトに回った。ショートに代えてサードに渡辺正人。セカンドには原井が入った。現状ではほぼ完全ガード。ローズサードファールフライ、中村ショートゴロ、川口レフト前ヒット。Mr.逆転の北川、ショートゴロで試合終了。

終わってみれば快勝だったが、途中までは胃に穴が開いてもおかしくないような展開だった。小坂や初芝も素晴らしかったが、やはり今日はミンチーに尽きるだろう。ヒーローインタビューには呼ばれなかったが、それはレフトスタンドのみんなが知っていることだった。これだからマリーンズファンはやめられない。

翌日は夜勤なので球場に行けないが、夜勤明けの日曜日は絶対行くぞ!とかたく心に誓って球場をあとにした。そこであんな惨劇が待っているとも知らずに。(8/3観戦記に続く

M 6 − 2 Bu
勝利投手ミンチー 9勝5敗。
敗戦投手ロドリゲス3勝1敗。

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