5月24日 ロッテ−日本ハム〜イースタンリーグ
(ロッテ浦和球場)

(京都府・ふさ千明)

ジョニーに会いたくて

5月24日にロッテ浦和球場でジョニーこと黒木知宏の復活登板があると聞き、勤務交代をして25日の休みを確保した。ちょうど前々日が夜勤であり、前日に色々あって居残って。結局朝8時から翌日の夕方5時半までの長時間になってしまったが、そんな勤務も無事終わり。帰宅後早速私は家を飛び出し一路東京を目指した。当日移動もいいが、ここはやはり前日移動で確実に。

車中で、もし雨天中止の場合は東京ドームでのマリーンズ一軍戦観戦というオプションまで考えてしまうのは雨男の悲しいサガだろう。茨城の友人宅に招かれていたのでそこで一泊し、翌朝10時半頃出発し、12時頃最寄りの武蔵浦和駅に到着する。本来なら悠々到着なのだが、ジョニー復活と言うことでどれだけ人がくるか全く分からない。のんびり昼飯を調達するようなこともできず、とっとと球場へ。

ロッテ浦和球場に来るのは久しぶりであるが、足はちゃんと道を覚えていた。3年前に来たときはなかったはずの高架下のパチンコやなどを見つつ、足早に向かう。

ロッテ本社の製菓工場の横を駆け抜ける頃には、ユニフォーム姿の人を何人見かけただろうか。工場と言えば、正門の所に「本日のイースタンリーグ公式戦 対ファイターズ戦 ロッテ浦和球場ここから3分です」と案内が出ていたのにちょっと笑ってしまう。事情を知らない人がアレを見たらそこでチケットを購入しようとしてしまうことは請け合いである(ロッテ浦和球場は入場無料)。ちなみに3分と言うのは私がダッシュしてのタイムとほぼ同等であったのをご報告しておこう。

工場をこえて次の角を右に曲がると、そこがロッテ浦和球場。入り口前の道には人が溢れていた。満員札止なのか? と思ったがさすがにそこまでではなく、単なる入り待ちであったことが判明。ホッとしながら中へ。

たまたま伊与田やユウゴーと一緒に門をくぐった。この時、選手との距離の近さに嬉しくなりまじまじとユウゴーの方を見てしまったのだが、ユウゴーの方でも私をややいぶかし気な感じで見ていた。背番号6のあの人と間違えられたとかそういうことなのだろうか。疑問は晴れぬまま、三塁側へ。

ここは特殊な立地条件のため三塁側がホームなのだが、今日はホームビジター共に満席。苦戦の末、どうにかこうにかマウンドがよく見える位置をキープ。ベンチの数がごくわずかなので、当然立ち見だがタダなので文句もない。ただ一つ言えることは、今日はこうなることが予想されていたのだから千葉マリンかせめてさいたま市営浦和球場ですることはできなかったものだろうか、と言うことである。

試合開始前にあちこち見て回ると、取材用のIDつけた人がうろうろしているのを見かけた。ここではついぞ見ない光景である。荘トレーニングコーチによるアップ練習等を見学して定位置に戻る。しばしして、オーダー発表。人が多いからか住宅地で音量を下げているからか、大変聞きづらかった。

先攻のファイターズ
一番ライト飯山、二番ショート古城、三番ファースト渡邊、四番レフト藤島、五番セカンド小谷野、6番サード小田、7番DH鶴岡、8番キャッチャー駒居、9番センター紺田、ピッチャー矢野。

後攻のマリーンズ
一番ショート西岡、二番サード青野、三番センター於保、四番ファースト初芝、五番ライト寺本、六番キャッチャー辻、七番レフト井上純、八番DH澤井、九番セカンド丸山、ピッチャー加藤康介。

ファイターズの方はしばらくご無沙汰していたおかげで知らない選手が増えている。馴染みが深いと言えるのは藤島や駒居くらい。片やマリーンズはファーストには初芝兄者もいるし期待の星西岡もいるし、なにより先発がコースケである。なじみがどうとか言う話でもない。メンバーを見る上では、今日は分がよさそうだ。その後も人数は増え続け、移動にも苦慮するほどになった。そんな異様な雰囲気の中、プレイボール。

1回表。
康介はボール先行だが古城にフォアボールを与えただけであとは全部三振に仕留め格の違いを見せつける。

1回裏。
トップバッター西岡、いきなり粘る粘る。ファールファールで八球投げさせ、結局フォアボール。青野の二球目、エンドランを仕掛けるもファール。ボールのあとの四球目、西岡盗塁。駒居の送球それて西岡は一気にサードへ。無死三塁。青野はピッチャーゴロで西岡かえれず一死三塁。於保はいい当たりのセンターライナー。これも西岡タッチアップできず。二死三塁。

そして。登場するのは先日守備練習中に渡辺正人から痛烈な突っ込みを食らって負傷、二軍落ちした初芝。その初芝の初球。ポーンとあがった打球はグングン伸びてそのままレフトスタンドへ。「やっぱり二軍にいる選手じゃねえよあんた!」ツーランで先制。2−0。もう肘の調子はいいみたいなので早く戻ってきてほしいものだ。

寺本センター前ヒット。辻。カウントツーワンからの四球目でエンドランを仕掛けるがファールになってしまう。そしてボールを挟んでの六球目、今度こそのエンドラン成功で二死一、三塁。井上純センターフライでチェンジだが、積極果敢な攻めがいい感じ。

2回表。
康介相変わらずのボール先行でファール以外はストライクにならないのだがそれでもきっちり三者凡退に取る。

2回裏。
こちらも付き合い良く三者凡退。まぁ、下位打線だしなぁ、とかいいつつブルペンが気になってしょうがなかったりする。

3回表。
駒居の打席、新幹線が通ったので「こまちを狙え駒居」と応援が。打球は上には上がらずショートへのゴロ。しかし西岡捕るのが精いっぱい。送球それて内野安打に。紺田粘るも最後は空振り三振。打順は一番に戻って飯山。初球、駒居が走る。辻、冷静に対処して阻止。しかし飯山にも粘られた挙げ句初芝がファールフライを捕れなかったりして歩かせてしまう。古城にも粘られ粘られフルカウントからファール4つも打たれる。それでも集中切らずに十球目でショートゴロにしとめる。チェンジ。

3回裏。
於保のヒットを初芝潰して皆おじゃん。大体そんな感じであった。でもこの人の併殺見るとホッとしてしまうのはなぜだろうか。

4回表。
渡邊フォアボール、藤島センター前ヒットで無死一、二塁。小谷野送りバントを試みるも康介奪取でこれをつかみ三塁転送、アウト。小田、鶴岡と倒れてチェンジ。

4回裏。
寺本初球セフティバントを試みるもファール。次球を打って出てレフトフライ。辻フォアボールで出塁し、一死一塁。マウンドに野手が集まりコーチが向かい、ピッチャー交代。厚沢がマウンドに。するとマリーンズも井上純に代えて佐藤幸彦をバッターボックスに送った。幸彦さすがのセンター前ヒット。一死一、二塁。澤井にも代打大村。久々に見る巌の勇姿にワクワク感増大。期待は大きかったが、ショートゴロ。6ー4ー3と渡ってダブルプレー。チェンジ。

5回表。
駒居、紺田と連続三振。飯山もショートゴロで三者凡退。

5回裏。
丸山セカンドゴロ。抜けるかと思ったが、小谷野いい動きでこれをとらえた。西岡、青野も倒れてチェンジ。この辺からブルペンにジョニーが姿を見せたため人もカメラも動く。狭いブルペンに、ついぞ見たことがないような人、人、人。

6回表。
マウンドにはルーキー酒井が。康介、今日は余裕を持って自分の球を色々試していた。カーブが低めに行き過ぎてボールになることが多かったが、カウントを悪くしても動揺せずバッターをきっちりしとめるあたりに「あくまで調整登板」という意識がうかがえた。

6回裏。
次の回あたりそろそろジョニーがマウンドにあがるということでテレビカメラが次々にグラウンド据えられる。おかげで視界が思いっきり塞がれてバッターボックスが見えない。「カメラ少し遠慮しろよ! 俺らが見えないだろう!」怒声も飛ぼうと言うものだ。

於保初球打ちでセンター前ヒット。初芝も同じくセンター前へ。無死一、二塁で寺本。さっきも同じような場面を見たなぁ、と思ったら一球目バント失敗したが、これはファールで助かった。二球目できっちり決めて一死二、三塁。辻、レフト前タイムリーヒットで於保生還。3−0。

佐藤幸彦もセンター前にタイムリーで初芝生還。4−0。幸彦には代走伊与田。しかし幸彦、2の2とはいい仕事っぷりだ。早く一軍での活躍を見たい。続く大村も一軍で見たい一人だが、あいにくこちらはセカンドゴロで4―6―3。二打席連続の併殺打となってしまう。チェンジ。

7回表。
一塁側で数人がファイターズ讃歌を歌っていた。しかし、その声をかき消すように、三塁側から、悲鳴にも似た絶叫のようなジョニーコール。そう。666日の苦難を経てようやくジョニーが実戦のマウンドに帰ってきたのだ。ベンチからゆっくりと歩いてきて、ラインを跨ぐ前にグラウンドに一礼。満場の拍手と絶叫。「おかえりー」「待ってたよー」「おめでとうジョニー」もう十分だった。ジョニーがマウンドにいる。元気にピッチングをしている。それだけで、もう十分だったのである。しかし、本番はこれからだ。

先頭バッターは鶴岡。初球を打ってセカンドゴロ。まずはワンナウト。駒居には代打佐藤。初球ファール。二球目ストライク。三球目ボール。四球目、センター前ヒット。紺田ストライク、ボール、ファール、ボールで五球目サードゴロ。青野捕って一塁送球。アウト。二死二塁。飯山初球ファール、二球目サードゴロ。チェンジ。無事、一イニングが終了した。

観客は、先にも優る拍手でジョニーを出迎える。この時なにかを叫んだような気がするのだが、もうそれすらよく覚えていない。ジョニーのピッチングがまた見られた。俺たちのジョニーが帰ってきた! こんなに嬉しいことはなかった。我々は、いつまでもいつまでも、その余韻に浸っていた。

7回裏。
この時点でのメンバー表、四番初芝、七番佐藤、八番大村、ピッチャー黒木知宏と名前だけ見ると物凄い豪華&平均年齢高すぎ(笑)。ファイターズは代打の佐藤がそのまま入りレフト。レフトの藤島がファースト、ファーストの渡邊がキャッチャーを務める。ピッチャーも伊藤に代わる。

丸山サードゴロ。西岡、五球連続ファールのあとレフト前ヒットの粘り勝ち。青野もレフト前ヒット。於保もレフト前ヒットで西岡ホームに突っ込むがアウト。タイミングは悪くなかったので、これも時の運だろう。初芝二点タイムリーヒット。代走ユウゴーと交代し、拍手で迎えられる。4の3で1ホーマー4打点。明日にでも一軍に来てくれないものだろうか。二死一塁と変わって、バッター寺本。レフト前ヒットで一、二塁。辻見逃し三振でようやくチェンジ。

8回表。
ジョニーの後を受けたのは舩木だった。初芝の代走で出たユウゴーがそのままファーストの守備につく。古城レフト前ヒット。代走尾崎。渡邊もレフト前ヒットで続く。無死一、二塁。タイムリーを期待するファイターズファンの声援にこたえきれず空振り三振。なおも一死一、二塁だが、小谷野はセカンドゴロで4―6―3。ホームベースが遠いファイターズ。この回もチャンスを生かせず。チェンジ。

8回裏。
ファイターズのピッチャー伊藤に代わり建山が出てきた。伊与田がライト前ヒット。三たびランナーを一塁に置いて大村巌。まさか三打席連続併殺打はあるまいと思いつつ、一方で不安は消しきれなかった。無事(?)キャッチャーファールフライで伝説不成立。続く丸山もここまでファースト、セカンド、サードと綺麗にゴロを打ちわけており、ショートゴロならサイクルゴロなのでかなり気になってしまった。結果はセンターフライと、記録(?)は意識すると駄目と言うがまさにその見本。西岡には代打早坂。小坂の「走ろう走ろう」応援が引き継がれていてちょっと笑った。結果は見逃し三振でチェンジ。

9回表。
代打した早坂がそのまま入りショート。ピッチャーは田中充に代わる。しばらくこのピッチャー見てなかったのでうっかりしていたのだが、サイドス
ローでびっくりした。先頭の小田が出ると、鶴岡には代打野中が告げられた。ライト前に弾き返して無死一、二塁。佐藤、初球攻撃でセンター前へ。球場が狭いためランナーは三塁ストップ。無死満塁。

ここまで三タコの紺田、そのままバッターボックスへ。一塁側から紺田コール大合唱。それを受けて勇む紺田は初球打って出てピッチャーゴロ。1―2―3と渡ってダブルプレー。飯山見逃し三振でゲームセット。

試合終了後、ジョニーが反省会のため再度グラウンドに姿を見せると、皆口々に賛辞を送った。もちろん私も、その一人だ。この瞬間を信じてやって来た甲斐があった。

「♪あなたに会えて良かった。本当に良かった」帰途、脳裏で好きな曲のフレーズをリフレインさせながら歩いていると、「むさし坊ラーメン」というラーメン屋に出くわした。なかなか風格のある店構えであり、昼食を食べていなかったので立ち寄ると、これが非常に美味であった。めんにもスープにも様々にこだわりがあっていい味を出していたし、チャーシューを初めとして具も絶品。浦和観戦の際はぜひ立ち寄ることにしようと決める。思わぬ余禄までついたこの観戦、本当に来て良かった。次にジョニーを見るときはぜひ千葉マリンで、と思いながら電車に乗った。

M 6−0 F
勝利投手 加藤 1勝0敗
敗戦投手 矢野 0勝1敗

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