6月26日 ロッテ−西武
(石川県立野球場)

(京都府・ふさ千明)

今年はマリーンズの北陸シリーズと仕事の休みが重なった。また、この日はダラ球会の観戦会も東京ドームにて行われる。苦渋の選択。考えた末に「北陸シリーズは今年を逃すと次はいつ見られるか分からない」と言う結論に達し、京都駅から特急サンダーバードに乗り一路金沢へ。

乗ろうとしていた時間の指定席が満席だったので、贅沢にもグリーン車を選択。グリーン車ではゆったりした3列のシートにおしぼりのサービスなどを受けて、悠々金沢まで…と、行きたいところだったが、毎度のことながら空模様が怪しく、デッキに出て球場へ電話。試合をやるかどうかの確認をすることにした。

中止の場合は次の駅で下車して、特急しらさぎに乗り換えて名古屋から新幹線だな…とやたら具体的に構想が浮かぶ。どうやら同じことを考えている人間が多かったためか、話し中でなかなかつながらない。何度目かのアタックでようやく『雨は小雨、試合は開催する』という回答を得て一安心。再びゆったりしたシートに身を沈め、うつらうつらとするうちに金沢着。

早速駅の観光案内所で球場への行き方をたずねると、駅前のバスロータリーから石川県立野球場行きの臨時バスが出るというのでそこへ向かう。するとそこにはマリーンズグッズに身を固めた行列が。その行列に混ざってしばし待つと、『プロ野球 ロッテvs西武 観戦臨時バス』と言う貼り紙をした車両が近づいてくる。乗り込んで座席を確保すると、ばったりさいじょうさんと出会う。「なぜこんなところに」「いや、ふささんこそ」

さいじょうさんとは以前、沖縄キャンプ巡りツアーでも北谷の球場でばったり出会って大いに驚かされたことがあるのだが(むろん、驚かされたのはお互い様だろう)、それがここ金沢の地で再現されようとは…。ともあれ、これは望外の幸い。道中選手名鑑でも見て過ごそうと思っていたのだが、おかげで色々と濃厚な野球話が楽しめた。

また、バスの運転手さんが『わざわざ県外からお越しのお客様も多いようで』という前置きのもと、『明日の富山の試合を見る人は、金沢−富山の移動にうちの会社のバスおすすめ(要約)』とアナウンスしていたのには思わず笑ってしまった。

バスが市街地を走ることおよそ20分ほど。県立野球場がある公園に到着。この公園にはだだっ広い駐車場があるのだが、それを埋め尽くす車の数。やはりプロ野球開催が貴重なのだろうか。思わしくない天候でも来場する人が多いようだ。

バスから降りてチケット売り場を探すが、売り場より先にマー君を見つけた。球場正面でファンクラブ入会受付や来場ポイントの書き込みをしている。途中、ライオンズの選手バスがやってきて、選手が球場入りするために、取り扱いどころか周囲の移動そのものが一時中断させられた。この辺、なかなか段取りの悪さを発揮していたが、こういうことはまぁ、いつもと勝手が違うので仕方なかろう。

さいじょうさんは「せっかくだから」と入会手続きを。北陸遠征のピンバッチをゲットしてご満悦。私は記念にと、マー君に携帯を向けて一枚撮らせてもらったりした後、ファンクラブ割引で前売り料金になったチケットを購入し、中へ。ちなみにこのチケットは今時珍しくチケット屋刷りのものではなく、オリジナルデザインである。当然裏にはスポンサーの広告入り。

購入後、中へ入ろうと入り口を巡ったが、私は勘違いをしていて、今日がライオンズのホームゲームだと思っていたため、入場に際してちょっと手間取った(ちなみにマリーンズ公式サイトの試合日程のページでは今でもビジター表示のまま)。

中へ入ると、既に外野はどちら側もしっかり埋まっている。来年はないかもしれないという緊張感がこの入場者数になっているのかもしれないが、それでも「パリーグでは客が入らないから」と言う理由で地方の興行関係者から敬遠され、開催を減らされている現状では何ともありがたいことだ。

また、金沢は大阪から特急で2時間半ということもあってか、ライトスタンドは関西応援団の仕切りのようだ。遠目で判別しただけだが、大阪や神戸で見たような人たちがたくさんいる。

場内アナウンスが千葉マリンと一緒だった。選手の登場曲も。音源わざわざ持ってきているのか。なかなか熱の入った取り組み方だと思う。でもボビーのワンポイント英会話はなかった。やっぱりマリンビジョンが使えないとやりにくいのか。しかし、ライトスタンドには関西からの遠征組が多いはずなのに、ちゃんと千葉マリン方式の演出にあわせられるのがマリーンズらしいと言うかなんと言うか。

また、ここはかのメィジャーリィガー松井秀喜も星稜高校時代試合をした球場だが、地方球場の悲しさか、あちこちの芝が剥げかかっている。ただ、土の部分の整備はしっかりしているように見えた。それもそのはず、グラウンド整備にでてきたのは地元球児と思われる少年達だったが、数が尋常ではない。総勢20人くらいでトンボ掛けをしている。「初めて見ました。この人数のトンボがけ」「ここまで大規模なのはあんまりないですよね」

数少ないプロ野球の試合ということでトンボ掛け参加希望者が多すぎて絞り込めなかったりとかそういう事情があるのだろうか。そんな話をしているうちに、スタメン発表。

先攻のライオンズ。
1番センター G・G佐藤、2番ライト 小関、3番サード フェルナンデス、4番DH カブレラ、5番レフト和田、6番ファースト 貝塚、7番ショート 中島、8番キャッチャ− 野田、9番セカンド 高木、ピッチャー許。

カブレラの復帰戦ということで、『4番DH カブレラ』のアナウンスに三塁側が大きく沸いた。私も怖くはあるが、楽しみでもあった。「コバヒロ、なまじ球速いから飛ばされちゃうんだろうなぁ、場外まで」とかそんな風に。

後攻のマリーンズ。
1番センター 井上純、2番セカンド 堀、3番ファースト 福浦、4番ライト ベニー、5番レフト フランコ、6番キャッチャー里崎、7番DH李、8番サード今江、9番ショート西岡、ピッチャー小林宏之。

今日はとにかく堀の1500本安打がかかっているということと、マリーンズ未来の星西岡&今江を楽しみにしていた。もちろん、小林宏之も好きなピッチャーなのだが、ここ数試合あまりいいピッチングができていなかったので、あまり期待はしていなかった。

スタメン発表後も、思わしくない空模様の下、じわじわ観客が増えていく。満員にはならないが、見たところ7〜8割の入りにはなったと思う。弁当やらジュースやらの売り子に混ざって、以前鹿児島キャンプでもらったのと同様の、マリーンズ選手メッセージ入りガムが配られていた。声をかけて、わけてもらう。

私は里崎、渡辺正人、原井、加藤だった。さいじょうさんはボビーが当たっていた。開けるのがもったいないので、ビニールをすかして中を確認。それぞれなかなかいいメッセージが書いてあるが、中でも小林雅英の「Enjoy & Victory」は、うちらしくなくていいと思った。ただ、Enjoyはいいのだが、あんまりどきどきさせないで欲しいとも思う。5/1の試合で満塁ホームラン打たれたのを見たものとしては特に。

1回表。
先頭G・G佐藤の打球は二遊間へ。ショート西岡一歩が及ばずセンター前ヒット。小関は初球をきっちり送りバントで一死二塁。この辺、やっぱり西武ライオンズである。

そして迎えたフェルナンデスへの5球目、里崎が後ろへそらす。マリーンズ名物バッテリーエラーで一死三塁に。フェルナンデスはキャッチャーファールフライで一息つくが、次が復活なったばかりのカブレラ。震える思いで見守っていると、カブレラの飛球はレフトへふらふらと上がった。フランコが追うが追いきれず、ボールはフェンスの手前でポーンと跳ねた。G・G佐藤ホームインでライオンズ1点先制。

フランコと、そのフォローに入ったベニーがもたつく間にカブレラはサードへ。これで二死三塁。続く和田が空振り三振でチェンジだが、宏之苦難の立ち上がりとなった。

1回裏。
こちらの先頭井上純はあっさり打ってセカンドゴロ。一死無走者という場面で、ここまで生涯成績1499安打の堀が登場。記録がかかっている場面こともあり、ぱらぱらと降り始めた小雨も気にせず傘無し観戦に切り替える。堀、粘って粘ってようやく前に飛んだ打球はレフト前へ転がった。見事1500本安打達成! 記録達成が場内にアナウンスされ、一塁ベース上の堀に花束が贈られる。この時必死に携帯で写真を撮ったが、遠すぎてどうにもならなかった。それでも記念は記念なので、ぼけてしまって何がなんだか良く分からない画像は大事に取ってある。

さらに、このあと福浦のセンターオーバーツーベースで堀が長駆生還。1−1の同点としてなお一死二塁のチャンスでベニーがフォアボール。一死一、二塁。一気にビッグイニングかと思ったら、フランコはショートゴロ。6−4−3であっという間にスリーアウト。ま、この回は記録達成と、試合展開的にはあっさり同点に追いついたのが大きい。

2回表。
イニング開始前、セカンドの守備につく堀に、ライトスタンドのみならず球場各所から幸一コールが。本拠地千葉マリンではないもののホームゲームと言うことでなかなかに温かく迎えられている。この流れ受けてか小林宏之、貝塚を空振り三振。中島をキャッチャーファールフライとテンポ良くツーアウトをとったが、野田にセンター前ヒットを打たれ、高木にもライト前へ運ばれる。連打で二死一、二塁。G・G佐藤のライト前タイムリーヒットで2−1となり、なお二死一、三塁。それでも小関をレフトフライに打ち取ってなんとかチェンジ。

2回裏。
里崎ショートゴロ。スンヨプレフトへの大きな打球はフェンス手前で失速して単なるフライに。今江センター前へポテンヒット。二死一塁。しかし西岡の大飛球も失速してライトフライ。チェンジ。スンヨプや西岡の打球を見ると、どうやら「そんなところまで千葉マリンに似せなくても」と言いたくなるくらい、上空では逆風が吹き荒れているらしい。 おかげで雨雲が流れて小雨ですんでいるのだろうが…。そのため、転がしにかかっているライオンズ打線のほうが確実に加点できているようだ。

3回表。
先頭フェルナンデスがフォアボールで歩くも、カブレラは空振り三振。一死一塁から和田、初球をレフトスタンドへ運ぶ。カブレラを押さえてもその後で打たれちゃ…これで4−1。貝塚セカンドゴロ。中島キャッチャーフライでチェンジ。

3回裏。
井上純レフト前ヒット。ノーアウトでのランナーも、堀、福浦、ベニーとことごとくフライでチェンジ。じわじわと離されていく…。

4回表。
先頭の野田、センターオーバーのツーベース。高木が初球バスターを仕掛ける。これがセカンドゴロとなり、結果オーライの進塁打で一死三塁。打順はトップに帰ってG・G佐藤、今日二本目となるセンター前タイムリーヒットで野田生還。5−1。続く小関は空振り三振、スタートを切っていたG・G佐藤セカンドでがタッチアウトでチェンジ。ここまでライオンズ、毎回得点。「もう、これ以上点入れられたらダメでしょうねぇ」「でしょうね」

4回裏。
フランコレフトフライ、里崎サードゴロ、スンヨプセカンドゴロ。三者凡退。

5回表。
フェルナンデスが振り逃げで出塁。「これであとは打撃妨害あたりで出塁して、ノーヒットで3出塁とかやって欲しいですね」ようやく傘が手放せるようになってきたので、こんな軽口を叩く余裕が出てきた。

カブレラは空振り三振で一死一塁となり、続く和田の4球目、きわどいコースがボールの判定でボビーが抗議に現れたが、当然覆らず結局このあとフォアボールで一死一、二塁。アレがストライクならツーアウトだったのに…と悔やむ間もなく貝塚にスリーランを浴びる。8−1。もはや勝ち負けを論ずる点差では無くなってきた。ここで小林宏之、無念の降板。被安打9(うち2本がホームラン)、8失点ではかばいようがない。次回に期待するとしか言いようがない。

代わって出てきたピッチャーは神田。試合がほぼ決まってしまったので、あとはこの神田がどれだけ雰囲気を立て直してくれるか。わざわざ金沢まで来て毎回失点を見せつけられるとはあまりに切ないのでそれだけは勘弁して欲しい。その神田、ヒットを浴びながらも後続を断ってようやくチェンジ。

5回裏。
今江ショートゴロ、西岡セカンドゴロでポンポンとツーアウト。またダメかと思ったが、井上純フォアボールで出塁し、堀のセンター前ヒットで純が好走塁を見せ二死一、三塁。ようやく巡ってきたチャンスで、バッター福浦。期待の場面でカウントツーツーから打って出てセカンドゴロ。チェンジ。飛ぶ罵声は、福浦だからだろう。主軸ならではの怒りがそこにはあった。

6回表。
G・G佐藤セカンドゴロ。小関ライトへの打球は、ベニーが目測を誤ったか捕球地点近くまで行きながら、なぜかボールを後ろへやってしまい、(遠目にはよけたようにも見えた)結果ツーベースに。一死二塁。今日はこんなプレーが多いので、もはやその程度では動じなくなっている。逆にちょっと悲しい。

今日何度目かのライオンズの得点機で打順はクリーンアップ。フェルナンデスはセンターフライ。カブレラの初球打ちもキャッチャーファールフライで、ようやくこの試合でのライオンズの連続得点が止まった。それだけでも神田を称えたくなる。

6回裏。
ベニー、フランコと連続フォアボールで無死一、二塁。ようやく許も疲れてきたか。続く里崎の打球は、ショート後方へふらふらと上がった。中島追いきれず、捕り損ねてしまうが、しかしベニーもこの打球ではスタート切れずサードでアウト。これで一死一、二塁。まだチャンスは続いていたが、スンヨプ空振り三振、今江サードゴロでチェンジ。

7回表。
ここ金沢でもちゃんとラッキーセブンで曲が流れる。こういう演出が地方のファンを千葉マリンへと呼ぶのかも知れない。この辺、よそはどんな感じなのか分からないので何とも言えないが、やるべきことをやろうという姿勢は褒めていいと思った。と、試合は褒めるどころではないので営業努力を褒めてみた。この回の神田、中島にヒットを打たれるが、後は抑えた。神田偉い。

7回裏。
こちらも流れるウィラブマリーンズ。西岡フォアボール。井上純は倒れたが堀が猛打賞となるレフト前ヒットで一死一、二塁。またチャンスで福浦。確率学的に言うと期待していい場面だが、フルカウントから打った打球はショートライナー。中島セカンドベースを踏んでダブルプレー完成。どっとため息。

8回表。
フォアボールとデッドボールで無死一、二塁。3イニング以上投げているのもうさすがにダメかと思ったが、小関空振り三振で、同時にセカンドランナー高木三塁へ走るがタッチアウトで二死二塁。フェルナンデスライトフライでチェンジ。神田、ナイスピッチング。スコアをつけたノートを見ながら「先発が神田だったらいい試合なんですよね。今日」「じゃあ今日は先発神田ということで」「おお、なるほど」

8回裏。
ライオンズは守備固めに入ってサード石井義人、キャッチャー細川。サードを固めるのは去年フェルナンデスが在籍したチームのファンとしてはものすごく納得の行くことなので強く相槌を打ちたいところだが「そんな点差でもなかろう大人げない」とも言いたくなる。この辺の手堅さが西武の伝統でもあるのだろうが。

ピッチャーも許から田崎に代わった。「誰でしたっけ、田崎って」週刊ベースボール名鑑号を繰ってもライオンズのページには見当たらない。「確かトレードで先日来たんじゃなかったでしたっけ?」ということであちこちめくってみると、横浜のページにいた。この頃スポーツニュースを敢えて遠ざけていたので、こういうことにとても疎くなっていた。

ということでその田崎の球を、この回先頭のベニーがレフトへ運ぶ。大きな飛球は風にも負けず今度こそスタンドへ。ランナーがいれば…とは思うが、いたところで大して状況は変わらない8−2。このあともスンヨプがフォアボールで出ただけで、あとは凡退。

9回表。
カブレラ、和田と抑えて「やっぱり先発神田にすべきでしたよねぇ」とか褒めていると貝塚に今日二本目をレフトスタンドに叩き込まれる。どこまで行っても褒めたらダメなのかこのチームは…。これで9−2。中島抑えてチェンジになったが、明日の試合や神田自身の次の登板のことを考えると、ここはしっかり抑えて欲しかった。

9回裏。
ライオンズのピッチャー鳥谷部に代わり、和田に代わって赤田が入りセンター。センターのG・G佐藤がレフトへ回った。鳥谷部が井上純以外はしっかり抑えて、結局ゲームセット。最後の打者が福浦だったのが、今日の試合を象徴しているような気がする。これで私が観戦した試合、マリーンズが4連敗。

帰りも行きと同じ臨時のバスに乗り、金沢駅へ。車内で色々な野球話に花を咲かせ、駅に着いたところでお別れする。その後、駅ビルの名店街で夕飯に金沢料理を食べ、珍しく地酒なんかも嗜んでほろ酔い気分で土産物を物色していると、ゴジラ松井サブレがメジャー松井サブレに変わっていたのを確認する。

今回の観戦は思いも寄らぬ出来事から始まり、中止よりマシという程度の降ったり止んだりの天候の中、マリーンズが大敗と相変わらず波瀾万丈な観戦だったが、球界も自分自身も来年がどうなっているか分からないことを考えると、やはり来てよかったと思う。

この後、所用のため東京へ行く事になった。翌日の富山の試合も見たかったのだがしかたがない。もうこの時間からでは新幹線には乗り継げないので夜行の手配にかかった。せっかくなので寝台特急北陸の個室を押さえたかったのだが、満室ということで寝台をやめて、急行能登のグリーン車にした。これで図らずも京都−上野間をグリーン車で移動することになった。まごうことなきアホだと、自分でも思う。ちなみに翌日の富山の試合は、マリーンズの勝利であった。○| ̄|_

勝利投手  許明傑
敗戦投手  小林宏之

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