8月13日 広島−中日
(広島市民球場)

(山梨県・早乙女修牙)

8月13日土曜日の夕方、私は広島電鉄・アストラムライン本通り駅ホームに降りたった。今日広島市民球場で行われる広島−中日戦を観戦する為である。

球場最寄りの地下街ASSEにて、いの一番さんと合流。広島駅で買ったカープの真っ赤な丁シャツを着ていたため、いの一番さんに「ワシより気合いが入っている」と思われたそうだ。

まずは腹ごしらえとお好み焼き屋へ向かう。この後観戦チケットOTrockseatの弁当もあるため、今日は固形物はもみじ饅頭を3個に留めお腹を空かせておいたのだ。20年振りの広島で食べるお好み焼きである。言うまでもない事だがアツアツで香ばしくて美味しかった。

市民球場に移動するとカープのマスコット、スラィリーとドラゴンズのドアラが観客を出迎えている。それを横目に見ながらチケットの引き替え窓口に向かう。

球場外周にはカープ主力選手のパネルが設置されている。ベースボールドッグ・ミッキー君のパネルもあるのが微笑ましい。チケットを受取り今度は球場正面で引き替え券を特典のフィギアとお弁当をに変えてもらう。

いの一番さんに案内してもらい球場内へ。座席は2階なのだか、2階部分は後附けされたものだそうで1階スタンドを経由しないと上って行けない構造になっている。

指定された座席は2階席ではあるが、東京ドームや千葉マリンスタジアムより高さがなくグラウンドに近い印象。今日も昼間は暑かったが高い位置にあるため、もう暑さはそれ程苦にならない。お客さんの出足もお盆のせいかなかなか良いようで、スタンドも賑わっている。


さてOT ROCKSEATとはミュージシャンの奥田民生氏が広島出身であり、大のカープファンでもあるので、誕生したタイアップ企画である。チケットにお弁当と民生人形というフィギアが付いてで4500円也。広島球団はこのようなお得な観戦チケットを沢山販売しており、集客の工夫と苦労を偲ぶことが出来る。

オリジナル首振り民生人形と弁当を取り出してみるフィギアはバッティングフォームの格好でシリアルナンバーと082(オヤジ?)の背番号が入っている(実際は広島市の市外局番)。

箱の上面にはカープの球団ロゴ、裏側には「頑張れカープ世界一」と入っている。

お弁当の中身は特大おにぎり一つと玉蜀黍 焼そば鶏の唐揚げなど。お好みソースがついているのがいかにも広島らしい。食事とおやつの中間程度の量なので短時間で完食。

グラウンドではスライリイーとドアラが登場し、遠投、駆けっこ、腕相撲、相撲対決などでしのぎを削っている。試合開始時間30分くらい前になり両チームのスターティングメンバーの発表

先攻の中日ドラゴンズ

4荒木 6井端 5立浪 3T.ウッズ 9福留 8アレックス 7井上 2谷繁 1野口

後攻の広島東洋カープ

8緒方 6山崎 9嶋 4ラロッカ 7前田 5新井 3栗原 2石原 1黒田

カープの選手はモノクロの顔写真とプレー中の写真の組み合わせでなかなかどの選手も格好よく仕上がっている。

定刻18:00に試合開始。

1回表

荒木粘ってセンター前ヒットで出塁
井端バントで送らずにショートゴロ、山崎の一塁への送球が多少逸れたのを見て荒木は三塁に進塁。
さすがにドラゴンズは優勝を争っているだけあって抜け目がない。
一死三塁でクリーンアップトリオを迎える厳しい局面に立たされた
黒田であったが立浪を三振、ウッズをセカンドゴロに討ち取りピンチ脱出。


1回裏

一方の野口の立ち上がりはどうか、
先頭の緒方にフォアボールを与えたが山崎の正面のバントを自ら処理し緒方を二塁で封殺、続く嶋もライトフライ
4番のラロッカにはセンター前ヒットを許したが
前田三振で無得点。


2回裏

1アウトから栗原がヒットで出塁するも
次打者石原の打球に当たってしまいアウト。
黒田もファーストゴロで無得点。


4回裏

ラロッカライトフライの後、前田がフォアボール、
新井の打球は勢いよくライト方向に向かって伸びる、先制ホームランかと思われたがフェンス手前で失速しライト福留のグラブへ、
巨大ビジョンにスラィリイーが登場し「惜しい〜!」と悔しがる。
栗原がライト前ヒットで繋ぎ石原はセンター返しのヒット性の当りであったが、セカンドの荒木が絶妙のポジショニングで守っておりセカンドゴロでチェンジ

5回裏が終了すると再びグラウンドにスライリイーとドアラが登場。
それぞれライト・レフトスタンド前で観客に手拍子を促し再び対決。


6回表

球数を費やしながらも好投を続ける黒田、
この回も荒木の打球を反応よく処理しピッチャーゴロ、
井端ライトフライ立浪を三振にとり得点を許さない。


6回裏

今日の野口は右左バッター関係なくアウトコースのコントロールが良いようだ。また球審の友寄さんもよくストライクにとってくれている。
この回もラロッカをサードゴロ、前田をライトフライに仕留めたが、
新井にライトへの先制32号ホームランを許してしまった。
もちろんレフトスタンドの一部を除いて球場全体が大歓声に包まれる。


7回表

先頭のウッズ、センター前ヒットも黒田は連打を許さず福留をピッチャーゴロ、ボールは山崎−栗原と渡り併殺完成。
黒田はまたも巧みな守りで自らを助けた。


7回裏

石原、ピッチャーゴロ。しかし野口の送球がライト方向に逸れた、さらにライト福留が処理にもたついている。顕らかに二進出来るのだが石原の反応が鈍く、二塁到達に手間取っていた。
黒田三振の後、緒方フォアボール
この日守備で何度も良いフィールディングをみせていた山崎が犠打で2アウト2、3塁。
しかし3番嶋がセンターフライに倒れ追加点なし。


8回表

この回も黒田はマウンドに上がる。
しかし先頭の井上に三塁内野安打を許してしまった。
代走に英智が送られ谷繁が送って1アウトランナー2塁。
ここで落合監督は野口に代え前日代打逆転3ランを放っている代打の切り札・高橋光信を起用。
黒田にとっては踏張り所、エースの意地を発揮したい場面であったがレフト前タイムリーヒットを許してしまい同点。

球場全体に今日も「逆転の竜」にやられるのかの落胆の雰囲気が漂う。
殊勲の高橋光信に代走大西が起用され試合再開、
バッターは1番に還り荒木。黒田は落胆する事なく荒木をセカンドゴロ併殺に仕留めチェンジ。
ドラゴンズにとっては俊足の荒木で併殺は計算外であっただろう。


8回裏

代走の大西に代わりピッチャー平井が登板。
なんとかこの回勝ち越しておきたいカープの攻撃。
先頭のラロッカがライト前ヒットで出塁、だが代走は告げられず。
続く5番の前田は初球バントの構えを見せ、スタンドがどよめく。おそらくサインではないと思うが真相は如何に。
前田は結局普通に打って出てレフトフライ、大型ビジョンに再登場したスライリイーが新井に「お願い、もう1本!」と懇願する。

新井の打球は三度ライトに上がったが福留のグラブに収まり6回の再現とはならなかった。
今日2安打の栗原も三振に倒れカープ、勝ち越しならず


9回表

黒田は井端をサードゴロ、立浪をショートゴロ、
一発が怖いウッズもライトフライに討ち取り9回裏に望みを繋いだ。


9回裏

8番の石原そのまま打席に入り三振。
黒田に代わり代打森笠が起用された。森笠は打数は少ないが3割を越える打率を残している。
カープはみんな打率が良いのだがそれが得点になかなかつながらない傾向がある。脚のある尾形佳紀の怪我による離脱もその原因であろう。

かつては単独盗塁も狙える脚力を持っていた選手が多いが、今はどうしてもただ打つだけの単調な攻撃になりがちで相手チームはさほそやりにくくないのではないか?

森笠の打撃結果はセカンドゴロ
浅井選手や野村選手も控えていたが延長を見据えもっと良い場面で使おうという考えか。

ツーアウトとなり延長の可能性が高くなってきた延長となればカープのピッチャーは抑えのベイルか永川のいずれかが登板であろう。
ベイルならともかく不安定な投球が多い永川ではドラゴンズ有利ではないか。

そんな事を話している内に平井が投じたフォークボールを緒方が完璧に捕らえレフトスタンドへサヨナラ16号ホームラン。

沸き上がる球場
マウンドにしゃがみこむ平井、
ベース1周しホームインした緒方をカープナインが手荒い祝福で迎える。
ヒーローインタビューはもちろん緒方。

「インタビューは下で聴きましょう」といの一番さんに促され1階スタンドに降りる
緒方は「サヨナラホームランは自分でも信じられない、
自分のスイングをする事だけ心掛けて打席に入った。
黒田が踏張っていたから白星が付いてよかった」と語った。

正にその通りで黒田はこの無四球完投勝利で2年振りに10勝到達。力投が報われる形となった。
また黒田投手は試合前の練習中に二人目のお子さんが生まれたそうだ。

球宴前は2連敗、前回登板でも打ち込まれ早い回に降板している為、いろいろな声が耳に入り、見返したい気持ちがあったそうだ。
ハーラーダービートップにも並び「みんなに助けてもらったおかげ」と感謝していたこと翌日の新聞の記事で知った。おめでとう黒田投手。


1階のスタンドからグラウンドやスコアボードや、2階スタンドをあらためて眺めてみる。
初めて来た球場であるのに懐かしい光景た。
この球場がいつまで使用されるか現時点では分からないが、またここで観戦したいものである。

そんな余韻に浸りながら球場外に出て、いの一番さんにお礼を述べ、まだ蒸し暑い広島の街の中を平和公園の脇を通り、今夜の宿であるホテル・サンルート広島に向かった。


カープ2─1ドラゴンズ

勝利投手・黒田10勝7敗
敗戦投手・平井4勝3敗1セーブ

戻る

inserted by FC2 system