99年2月27日 オープン戦 日本ハム−オリックス
(沖縄・名護球場)

(千葉県・ふさ千明)

前日、今関が看板を持って市内を宣伝して廻ったという話を御存知の方も居られるだろう。その試合である。また、オリックス側が試合前に故・三輪田編成部長の冥福を祈ってベンチ前で1分間の黙祷を捧げたという出来事もあり、試合以外にも話題の多い日ではあった。  

この日早々に到着した我々は券を買って早速中に入り練習を見ることにした。小雨と強風にさらされつつも、懐かしい手動のスコアボードなどを見てあれこれ言っていると、「本日の開場は12時からです。現在入場のお客様は一度外にでてから再度ご入場下さい」とアナウンスが。じゃあ入れんなや。  

ぶつくさ言いつつも仕方なし、いったん出て開場を待つ。  

この試合のスタメンは以下のとおり。

<オリックス> 
1.(右)嘉勢−2.(二)大島−3.(遊)田口−4.(一)藤井−5.(DH)プリアム−6.(左)五十嵐−7.(三)小川−8.(捕)日高9−(中)松元−(投)杉本友

<日ハム>
1.(中)井出−2.(二) 金子−3.(三)片岡−4.(DH) 田中−5.(左)西浦−6.(一)小笠原−7.(右)上田−8.(捕)田口−9.(遊)奈良原−(投)今関

オリックスは早くもイチロー抜きを覚悟したかのようなメンバー。ある意味オープン戦らしい。日ハムの方はウィルソンを入れればほぼベスト。開幕戦を戦うにも遜色無いような顔ぶれ。  

まぁふつうに戦えば日ハムに分があるように思われた。  

スタメン発表後、前日の今関の働きがアナウンスされ、たたえられる。本人にしてみれば触れて欲しくない過去かもしれないのに。  

この日、沖縄は普通ではなかった。開始時間が近づくにつれ、風は強まり、ただの霧雨を横殴りの暴風雨にかえ、両チームの投手と半袖姿の主審柳田(元近鉄)に襲いかかっていった。  

始球式は名護市の久保田市長。外角にボールコースながらいい球を放る。  

1回表、いきなり1、2番が連打して、オリックスあっさり先制。が、1点止まり。この回プリアム三振の場面で今年初の抗議がプリアムと仰木監督によって行われる。

その裏、井出がいきなり同点ホーマー。おそらく今年のオープン戦第1号。ホームラン賞として名護市商工会だの地元企業だのから<金一封>が送られるとのアナウンス。こちらも1点止まり。  

2回も互いに1点ずつ挙げ、3回表、田口、藤井と連続四球のあとにプリアムがスリーランをぶち込む。海まで届いたとすら思えた大アーチ。ライトの上田は、一歩も動けなかった。振り返りさえしなかった。監督の上田はウロウロしていたようだが。  

そして今関は五十嵐、小川に連打されたあと、日高にも同じ目に遭わされる。  

結局そこまでで、降板。2回0/3で8失点。KOである。この日はとにかくストライクが入らなかった。ただ、風雨に加えて捕逸が2つ有り、さらに言えば熱心な営業活動のあげくにこの結果は、気の毒と言えば気の毒である。  

このあとは、出てきた高橋憲幸が後続を断ってチェンジ。  

裏、金子がショート内野安打。これは止めた田口を褒めたくなるほどいい当たりだった。回を追うごとに田口の守備が良くなっていく。片岡倒れたあと、田中のライトオーバー二塁打で一、三塁。「ここで一発出たら3点差かぁ」と言っていたら、西浦が本当にスリーラン。まさに期待に応える一発という奴だ。  

ここでまたくどいくらいに連呼されるホームラン賞のアナウンス。  4回表、田口を一塁においてプリアム再び場外へ。こうポンポンと放り込まれると何も言葉がない。思わず拍手。が、後が続かない。  

この回の裏は強風で下向いているうちに奈良原が盗塁したことくらいで、特筆すべき事はこれといってない。この試合はじめてスコアボードにゼロが登場する。  

そしてこの回ぐらいから仰木マジックが発動して選手が交替し始める。そのためスコアボードが大変。なにせ常打ち球場ではほぼ絶滅状態の手動のスコアボード。てんやわんやなことは想像に難くない。  

5回裏、田中に代打秦。その秦がセンターバックスクリーンにホームラン。全盛期を髣髴とさせる一撃。  

5回の攻防が終了してグランド整備が始まる。別に砂をまいたりすることもなく通常どおりの作業が行われる。スタンドの難状とは裏腹に。  

6回の表が終わったところで、試合が一時中断。天候状況は試合開始から余り変化がないのだが、ここに来て急に審判団が協議しはじめる。とりあえず試合成立するまでは触れずしていたのだろう。

結局、再開。  

6回裏、先頭の上田がホームラン。これだけの打ち合いが見られるのもこの風雨のおかげと思えば、と考えようとするが、あまり慰めにならない。  

7回の表が終わったところで仰木監督が出てきて、再度中断。どうなることかと見ているとオリックスベンチが無人に。あとで知ったのだが、仰木監督が「怪我でもしたらどうするんや!」と、引き上げさせたのだという。  

中断中、事情は不明だが4、5人のカメラマンがベンチ前で丸尾を撮りはじめる。そして見切りをつけたのか、応援団をはじめ、客がどんどん引き上げはじめる。  

それでも待っていると、場内にいきなりSPEEDの歌がかかり、ますます判断に困る。やるのかやらないのか。

待たされたあげく、最後まで半袖だった主審柳田からコールドゲームが宣言されて、試合終了。  

結局この日はホームランが計7本という派手な展開になった。のだが、あまりそのことは印象にない。何しろ寒かったので。みやげにもらった風邪は、結構長引いた。  

できれば今度は晴れた日に野球が見たいな、という私のささやかな願望は、所沢であっさりと裏切られる事になるが、それはまた別のお話。

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