99年11月10日 日韓プロ野球スーパーゲーム
(東京ドーム)

(東京都・むさし郷司)

4年ぶりの日韓野球である。前回の1995年には6試合が行なわれ、そのうち首都圏では東京ドームと横浜スタジアムの2試合が組まれていた。私はその2試合とも観に行ったのだが、今回のシリーズは4試合に減り、首都圏では1試合だけとなってしまった。

ということでこの日の東京ドームが今大会では私にとって唯一の観戦となった。しかし一番面白いゲームに巡り合うことが出来た。

午後4時半頃東京ドームに到着。すると球場の外にワゴンが出ていて、韓国チームのユニフォームを着た店員が韓国野球グッズを売っていた。

物珍しさに、私はついついLGツインズの帽子(2000円)、日韓野球パンフレット(500円)、文庫サイズの韓国プロ野球選手名鑑(ハングル語・800円)、そしてロッテ・ジャイアンツのマスコットぬいぐるみ(2000円)なんてものでも買い込んでしまった。合計5300円也。う〜ん予定外の出費である(痛)。

ちなみに上記の他には、日韓野球記念Tシャツや韓国チームのファンブックなどが売られていた。ホントは卑猥なマーク(笑)のロッテ・ジャイアンツ帽子も欲しかったのだが、あいにく置かれていなかった。そのあと一応「TO:DO」にも行ってみたが、こちらには韓国野球関係のグッズは全く無かった。

そして当日券売場で「C指定」2000円を買う。C指定は1階両翼ポール際と2階席があったので、2階席のネット裏を選んだ。2000円でこの場所なら、まあリーズナブルであろう。

場内に入ると、グラウンド上では韓国チームが打撃練習中をしていた。ちなみにバッティングピッチャーは日本ハムが務めていた。さすがにバッティングピッチャーまで韓国からは連れて来ていないようだ。

またネット裏の客席には、韓国報道陣のために本来の記者席の手前に仮設の記者席が設けられていた。日本のスポーツ新聞では、日韓野球が1面になることはあまり無いが、韓国ではきっと大々的に報道されるのだろう。

試合開始までまだ時間があるのでドーム内をうろついていると、ハングル文字による注意書きの紙が貼られていた。その紙を良く見ると隅に小さく日本語訳が書いてある。これは係員が貼る時に、間違わないためか。

5時55分になると、東京消防庁音楽隊によるブラスバンド演奏が始まった。4曲くらい演奏したあと6時10分から開会式。ブラスバンドがファンファーレを奏でる。そして両軍選手の紹介。コーチとして日本ハム・大島新監督が紹介された。背番号77を着けてからは東京ドーム初見参である。

そのあと両国国歌吹奏、両軍監督(日本・長嶋監督、韓国・ソ・ジョンファン監督)に花束贈呈が行われ開会式は終了。小学生による始球式があり、6時半にプレーボールとなった。

先発投手は、日本・西口(西武)、韓国・チョン・ミンテ(現代)。

※なお本稿では、韓国人選手の名前を最初は漢字で書こうと思ったが、日本では一般的に使わない字が多いためなかなか変換されないので、カタカナ表記でいきます。

1回表日本は1死1、2塁から4番松井秀(巨人)の右中間二塁打でまず2点を先制した。その裏、注目の「韓国野球史上最強のスラッガー」54発男のイ・スンヨプ(三星)が打席に入る。すると、三塁側の韓国側スタンドを中心に大きな歓声があがった。だが結果はセカンドフライ。

イ・スンヨプは今回のシリーズではヒットこそ出たが、とうとうホームランを打つことが出来なかった。日本相手ということで意識過剰になっていたのかもしれない。その打棒の片鱗程度しか目の当たりに出来ずに大変残念である。

しかしかわりに、2回裏韓国は5番ヤン・ジュンヒョク(ヘテ)と7番キム・ドンジュ(斗山)にホームランが飛び出して3−2と逆転した。そして続く3回裏には2番手横山(横浜)から3連打と犠牲フライでさらに2点を追加した。横山レベルのピッチャーでは韓国オールスターには通用しないのかもしれない。

だが日本も負けてはいない。4回表に谷繁のタイムリーヒットでまず1点を返す。ここで韓国は投手をチュ・ヒョングァン(ロッテ)にスイッチ。

チュは背番号28のサウスポーで、しかもロッテのタテ縞のユニフォームを着ていることから、私はどうも園川とイメージがダブってしまう。しかもこのシリーズ、これで4戦全部に登板である。なんか使われ方も園川に似ている(笑)。チュは関川(中日)、仁志(巨人)を連続三振にしとめ、とりあえずこの回は1点に留めた。

4回裏日本はマウンドに小宮山(ロッテ)が上がる。9月11日に二軍落ちしてから2ヵ月ぶりの「表舞台」への登場である。そして1イニングを無難に無失点で抑えた。

5回表日本の攻撃。またもや松井秀の二塁打でまず1点、続く金本(広島)も連続二塁打で同点に追いつく。さらに6回表には松井稼(西武)のタイムリーヒットで1点勝ち越し、なおも野選で2点目をあげた。これで7−5。

しかし7回裏韓国は、川崎(ヤクルト)からイ・スンヨプが中前打を放ちまず1点。主砲の一打にここでスタンドから「イ・スンヨプ」コールが起こった。なおも2死1、3塁からホン・ヒョンウ(ヘテ)が左中間に二塁打を放ち2者を迎え入れ、韓国は8−7と再逆転をした。二転三転の試合展開に、三塁側スタンドから今度はウェーブが起こった。

私はこのへんでちょっと席を移動して、三塁側の韓国応援席のほうへ行ってみた。

でも、最近中日やダイエーのファンも使うようになった空気を入れて膨らます応援棒(正確な名称は不明)がちらほらと見える程度で、特に韓国らしい独特な応援というのは行われていなかった。観客席の通路を旗を持って走り回り、ウェーブを煽動している人はいたが。

そのあと喫煙所に降りる。そこは韓国応援席のすぐ下だったので、まわりは韓国人ばかりのようだ。ちなみに韓国では、目上の人の前で煙草を吸うことは失礼なこととされているようで、その場合には横を向いてすまなさそうに吸うらしい。しかし別段そのような光景は見られなかった。

しばらく喫煙所でモニターを見ていたら、8回表に松井秀の同点ホームランが飛び出した。するとまわりの韓国人たちは、こりゃ一大事とばかりあわててスタンドに駆け戻っていった。

この回日本は、なおも2死満塁のチャンスをつかむが追加点はならず。その裏韓国も、1死2塁から代打で登場した「首位打者」マ・ヘヨン(ロッテ)がレフト前にヒットを放つが、金本の好返球に本塁でタッチアウト。まさに「がっぷり四つ」の好ゲームとなった。このへんで日本人を含めた観客のボルテージは最高潮に達し、もはや親善試合の雰囲気では無くなってきた。

そして9回表、日本最後の攻撃も2死2塁。ここで打席に松井秀を迎えた。すると韓国チームは松井をなんと敬遠した。またもや親善試合とは思えない光景である。韓国としては、この試合に勝ってなんとか対戦成績をタイにして帰国したかったのだろう。当然ながら客席からはブーイングが出た。

結局次打者の金本がセカンドフライに倒れ、日本の勝ちは無くなった。また9回裏は岩瀬(中日)が1人走者を出すが無得点に抑え、4時間近い熱戦は引き分けに終わった。

日本のプロ野球界は韓国や台湾を格下と見ているきらいがあるが、年々その差は縮まってきていると思う。

日米ワールドシリーズをする前に、とりあえず「アジアシリーズ」を開催して、プロ同士の国際的な真剣勝負を早く見せてもらいたいものだ(先日のオリンピックアジア予選では部分的に実現したが)。

<余談>
爆笑問題の小さいほう似の「片手ぶらり打法」パク・ジョンテ(ロッテ)が、この試合に不出場だったのが個人的には残念。

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