この日のカードは１部最下位の専修と２部優勝の中央の対戦。土曜日の１回戦ではサヨナラで中央が先勝、日曜日の２回戦では専修が完封勝ちを収め、この日の決戦と相成った（月曜日は雨天で順延）。ちなみに土・日のゲームはＣＳでＴＶ中継もされた。99年６月８日
東都大学１・２部入替戦 中央大−専修大
（神宮球場）
（東京都・むさし郷司）
たぶんこのサイトをご覧の方にはちょっと場違いな観戦記です。
私は東京６大学野球は、学生時代を中心に何回も観に行ったことがあるのだが、東都大学野球にはまだ１回も行ったことがなかった。
そこで、かつては「人気の６大学、実力の東都」と言われていたこともあるので、まあ、一生に一回くらいは行ってもよかろうと思い、この日東都大学の行われる神宮球場へと赴いた。
さてここで、東都大学リーグについて簡単に説明したい。発足は昭和６年で、当時は５大学で構成されていた。現在の加盟校は全部で２１校で、それらが１部６校（亜細亜・専修・日大・青山学院・駒澤・東洋）、２部６校（立正・中央・国士館・東農・國学院・拓殖）、３部６校（一橋・芝工・学習院・成蹊・順天堂・大正）、４部３校（上智・東工・武工）に分かれて、それぞれ年間２回（春・秋）のリーグ戦を行なっている（大学の内訳は99年春季現在）。
そしてリーグ戦が終了したあとに、上位リーグの最下位校と下位リーグの優勝校の間で「入替戦」が行われ、その勝った方が、次期リーグ戦において上位リーグに参加することになる。また、東京６大学とは違いＤＨ制を採用している。
今回観に行ったのはその「入替戦」である。ウワサによると、入替戦は東都のゲームの中では一番観客が集まるそうである。
この日のカードは１部最下位の専修と２部優勝の中央の対戦。土曜日の１回戦ではサヨナラで中央が先勝、日曜日の２回戦では専修が完封勝ちを収め、この日の決戦と相成った（月曜日は雨天で順延）。ちなみに土・日のゲームはＣＳでＴＶ中継もされた。
球場に着いた私はさっそく入場券を買った。券の種類は「一般1300円」、「学生600円（学生証の提示が必要）」の２種類のみ。外野席は未開放。当然「一般」を購入。意外と入場料は高い。
入口で「神宮球場ガイドブック」を売っていたので買う。この本の存在は前から知っていたが、買うのは初めて。売価500円也。
内容は東京６大学、東都の選手名鑑や展望が中心だが、越智正典氏（元日本テレビ・アナウンサー）の稲川誠（立教ＯＢ）、仁村徹（東洋ＯＢ）に関するエッセイや、張本勲、豊田泰光らによる「野球放談」など意外と盛りだくさん。巻末にはヤクルトの選手名鑑も載っていた。ちなみに上記の東都大学リーグについても、これを参考にした。
球場の中に入るとさっそく両校の応援団が「ヤジ合戦」をやっていた。ヤジの内容は、ともに相手校の立地を揶揄したものであったが、私が思うにどっちもどっちであろう（専修は神奈川県生田、中央は東京都八王子の、ともに山中にキャンパスが有る）。
試合は定刻１時に開始された。三塁側・先攻の専修のユニフォームは、モスグリーンを基調にしたシックなデザイン。一方、一塁側・後攻の中央は、上が鮮やかな紺色、下が白。横浜ベイスターズのビジター用に似ている。
１回裏中央は、プロからも注目されているという左打者の３番キャチャー阿部の左中間２塁打で１点先制をする。すると２回表に専修は５番本永の２ランなどで３点を取り逆転。しかし２回裏、３回裏と中央は１点ずつを返し３−３の同点とした。なかなか「好ゲームの予感」である。
さて、ここで観客席に目を向ける。数は、ざっと見たところ１０００〜２０００人というところか。これが普段の試合と比べて多いのかどうかはわからないが、平日の昼間ということを考えるとなかなかの数だろう（プロ野球の二軍戦より多い）。
そして学生っぽい客は意外と少なく、ネクタイ姿の中年の姿が多く見られた（両校のＯＢかな）。そしてプロ野球と比べると女性客が非常に少なかった。
話を試合に戻す。４回裏中央の攻撃で、２死２、３塁から阿部のレフトフライを専修の津川が痛恨の落球。これで２者が帰り、中央が勝ち越す。
７回には、お決まりの両校校歌が歌われる。専修の方は学ラン姿の応援団員以外はあまり歌っていないようだった。応援人数も中央側の方が多かった。
中央は７回裏に決定的な３点を奪い、あとは専修の攻撃を抑えるだけになった。そして９回表、最後の打者、４番半田をショートゴロに打ち取り、３時34分試合終了。
これで中央の10年ぶり（21シーズンぶり）の１部昇格が決定した。バッテリーがマウンド上で抱き合う。そしてその２人を目掛けてベンチから全選手が出て来て、それに覆いかぶさってゆく。
一塁側スタンドからは紙テープが投げ込まれ、クラッカーが鳴る。そしてホームプレートでの両軍の礼が終わると、渡辺主将の胴上げが行われた。
２部のチームにとってはリーグ優勝よりも、入替戦に勝つことが最終目標だったのであろう。その喜びにあふれていた。
試合が終わり球場の外へ出ると、中央ナインを祝福するために、多くの人々が外で待っていた。
なお余談だが、この翌日からは２・３部および３・４部入替戦が神宮球場で行われた。