わが家のベイスターズ狂騒曲

         (静岡県・猛牛河内音頭 ) 

私の父は、かつて青田が好きだったということもあり、なんと松竹ロビンス時代からの40年以のベイスターズファンである。いつもの年だと父は、春先は「今年の横浜は強いなあ」などと言っているが、そのうちにだんだん静かになっていくのが常であった。  

ところが、昨シーズンは夏すぎまで、今シーズンは日本シリーズまでという、父にとって忙しい年になってしまった(まあ、ほとんどのファンがそうであろうが…)。  

しかし、長い間優勝から遠ざかっていたチームのファンの悲しい性なのか、首位に立っていても、すぐ落ちてしまうのではないかという危惧から抜けきれないようにも思えた。(まんパロ10月号のやくみつる・みずしな孝之対談からも、父と同じようにそんな危惧から抜け出せないものが、ありありとわかり、ああ、みんなそうなんだなあ…と感じました) 

そのうちに優勝するまでは酒を断つとか、TV中継を正座して見ていると必ず勝つとか言いだしたり、宇都宮に住む中日ファンの私のおいっ子(もちろん父にとっては孫)に電話をわざわざかけて、やりあっていたり(私の弟がドラゴンズファンで、もちろんわが子を『洗脳』している)、いつも早寝の父が必死にニッポン放送の電波を探して、最後まで聴いている姿を見ていると、ふだんは(酒を飲んだ時以外は)あまりはしゃぐことのない父に、こんな一面もあるんだなぁと、思うようにもなった。

V達成前に、スワローズに足止めを食った時は、父は連日怒ってばかりいた。私たちにもあたり散らしていたので、母と私は「早く優勝してもらわないと、困るね」と言っていた。そうこうしているうちにセ・リーグV、日本シリーズへ…。あれよあれよという間に、日本一も決めてしまい、父のフィーバーぶりは本当にピークに達したのである。

日本一を決めた晩、母までが「ビールがあんなに飛ぶものかどうか、試してみたい」などと言いだしたので、本当にあわててしまった(もちろん、やらなかったが…)。本当に今シーズン、わが家はモロに『ベイスターズ狂騒曲』に巻きこまれたのである。  

余波はシーズン・オフまで続いていて、ベイスターズ関連本を買いまくるわ、日米野球をTVで見つつ、「ベイスターズの選手が少ない」とブツブツ言っている始末である。 

その父が、フトもらしたことば。  

「オレが生きている間、もう二度と優勝なんて見られないだろうなあ…」  

もちろん、そうならないように、ベイスターズの皆さん、来シーズンも頼みますよ!!  

PS・それにしても大塚VS佐々木の『東西ストッパー対決』が見たかったなあ…。

 

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