5月28日 明治大−東京大〜東京六大学春季リーグ戦
(神宮球場)

(東京都・むさし)

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2回表、再び小林がマウンドへ登る。まずは5番河原(2年)をファーストゴロ。

「変な力みがあってやりにくかった」(河原)

続く6番越智(2年)もショートゴロ。またもや簡単に2アウトをとった。

「遅くてタイミングがとりづらかった」(越智)

しかし7番山口(4年)が2球目をライト前へ運ぶ。ようやく東大にも初ヒットが飛び出した。

「打ったのは沈んだ直球。打たないと目立つし、ネガティブな心境でした」(山口)

これで動揺したのか、小林は続く8番野村(4年)をストレートの四球で歩かせてしまった。

「竹本みたいにフォームに特徴をつくればもう少し良くなるのでは」(野村)

野村はストレートの四球を選んだからか、相手にアドバイスまでする余裕のコメントである(笑)。

さて、これで2アウト一、二塁。そして打席には9番竹本が入る。史上初の「投打女性対決」だ。まずは初球ストライク。続いて2球目。この時、東大はダブルスチールを敢行し、小林の動揺を誘う。投球はボール。これでカウント1−1。

しかしこのあと竹本は2球続けて空振りで結局三振。東大は9番に打順が回るという不運もあり無得点に終わった。

「負けたくなかった。打たれるのは嫌だから三振を狙った」―これは小林のコメントである。なかなか負けず嫌いな性格のようだ。

この試合、結局奪三振は両投手合わせてこの1つだけであった。さすがに男性選手から三振を奪うのは難しいということなのであろう。

2回裏。竹本の2イニング目である。この回の先頭は7番金子博(4年)。過去3回の登板では、打者6人まで(1回1/3)が最長なので、これで竹本は自己最長の登板となった。

ボール、ボール、ストライクでカウントは1−2。つづく4球目は球速90km/h。これを金子が引っぱたくと打球はレフトスタンドへ一直線。これで2対0となった。

「打った瞬間、入ったと思いました。女性ということは意識しなかった」(金子)

続く8番太田(4年)もカウント1−3からライト線に二塁打。ここで打席に今度は小林を迎える。「投打女性対決第2幕」である。しかし竹本はストライクが入らずカウント0−3。ここで四球ではつまらないなぁと思ってたら、4球目を小林が積極的に打ちにいきレフトフライ。ここで無難に四球を狙いにいかないとは小林もなかなか勝ち気である。

これで1死二塁、打順がトップに返ったところで竹本は降板。拍手に迎えられ三塁側ダッグアウトへ引っ込んだ。おそらく最初から「打者一回り」の予定だったのであろう。

代わってマウンドには浅岡(3年)が登る。球速は130km/h前後なのだが、これがとてつもなく速く感じた。浅岡は後続を抑え、この回明大はホームランの1点のみに終わる。

3回表、この回も明大は小林をマウンドへ送る。1番沢本に対して、ボールが3つ先行する。その後ストライクとファウルでカウント2−3と持ち直すも結局四球。ノーアウトの走者を出すのはこの試合初めてだ。

そして2番真鍋にもカウント0−2。どうなることかと思うや、真鍋は3球目を打ってショートゴロ。これが併殺打となり、あっさりと2アウトとなった。

しかし3番入山に対してまたも0−3。1球ストライクのあとの5球目を入山がセンター前ヒット。続く4番児玉の初球に入山が盗塁成功。キャッチャーがボールを持ち直していなければ微妙なタイミングだった。しかし2球目、児玉はピッチャーゴロ。小林は今度は無難に送球し、この回も無失点に抑えた。

3回裏、明大は東大2番手・浅岡を攻め3点を奪い、5対0と点差を広げた。そして9番小林のところに打順が回ると、代打佐藤崇(4年)を起用。小林は「お役御免」となった。

点差も開いたことだし、勝利投手の権利を得る5回まで投げさせてほしかったところだが、まぁ最初から3イニングの予定だったのだろう。

結局小林は3回、打者13人、2安打、1三振、2四球、無失点。一方竹本は1回1/3、打者9人、4安打、1四球、1失点。

対東大打線相手ということを差し引いても、小林のほうが力は上に感じた。まだ卒業まで5シーズンあるので、今後の活躍が期待される。「史上初の女性勝利投手」もきっとそう遠い夢ではないだろう。

小林の投球フォーム

なお、試合はこのあと明大がさらに5点を追加。一方東大は明大2番手・長尾にパーフェクトに抑えられ10対0で明大の圧勝に終わった。


試合後の挨拶を終え引き上げる小林

さて、続く第二試合は法政大−立教大2回戦。これに勝てば法政の優勝ということで、観客は第一試合の6000人から8000人に増えていた。おそらく両校では大部分の授業が休講となったのだろう。学生席はなかなかの入りである。しかし逆に報道陣の姿はほとんど消え失せてしまった。

試合は両軍無得点のまま延長に突入という白熱した好ゲーム。そして迎えた10回裏、立教がサヨナラ勝ちし法政の優勝は翌日までお預けとなった。ここで最後に両校監督のコメントを。

(優勝のかかった試合中に、両女性投手の会見が始まったことに対して)リーグ全体のことを考えると複雑な気持だ」(法大・山中監督)

「女性投手の話題に負けないくらい、いい試合が出来た」(立大・斎藤監督)


法大−立大戦のもよう

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