9月20〜21日 ロッテ−西武
(千葉マリンスタジアム)

(京都府・ふさ千明)

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明けて9/21。前日に優勝が決まっていれば京都に戻る途中、ナゴヤで降りてデーゲームの中日戦でも見ようかと思っていたが、本日も胴上げ阻止戦となれば話は違う。何を置いても千葉マリンで観戦しなければ。しかし、もし本日も阻止して翌日の試合も決戦になった場合は無念の涙を呑んで夜勤にいそしまなければならない。そのことがあって昨日以上の気合いを入れて球場に向かった。

ちなみにこの日、おふくろはパートが休みだったが、昨日の疲れがでて家にとどまった。別に声張り上げて応援したわけでもないのにかすれ声になっていた。昨日のS指定席観戦も捨てがたかったが、今日はライトスタンド。白いユニフォームに身を包んで応援に声を嗄らすことにした。球場見学会に参加されたよしたにさんが席を確保して下さるとのことなのでそれに甘え、昼頃球場着。やはり3塁側目当てが多い状況の中、カモメの窓口で無事チケットを確保。

今日は外野席。チケットを手にライトスタンドの入場口へと向かうと、ここでも長蛇の列。いつもこうだといいなぁ……としみじみ思いながら、ちょっと並んで中へ。よしたにさんと合流し、ご友人を紹介されながら今日の試合の展望などを語りあう。予告先発がM小野、L許であり、成績だけを見て言えば、7連勝中の後藤に対し後半戦未勝利の小野が不利なのは明白だが、ここは逆に期待をかけても良いのではないかと言うことでとりあえず結論付いた。そのあともスタメン発表までのんびりダラダラと語る。

『白いボールのファンタジー』が場内に流れたあと、スタメンが発表になる。
先攻のライオンズ。
1番ショート松井稼頭央、2番ライト小関、3番レフト貝塚、4番ファーストカブレラ、5番DH和田、6番センター宮地、7番サードマクレーン、8番キャッチャー伊東、9番セカンド高木浩之、ピッチャー許銘傑。

後攻のマリーンズ。1番ライト諸積、2番センターサブロー、3番ファースト福浦、4番DHボーリック、5番レフトメイ、6番セカンド堀、7番サード初芝、8番キャッチャー清水将海、9番ショート小坂、ピッチャー小野。

ライオンズは平尾を下げマクレーンを入れてきた。昨日使ってこなかったのは別に何か不都合があったわけではなかったようなので、あの長打力は要注意だろう。

1回表。
松井レフトフライ。小関ライトフェンス直撃ツーベース。貝塚初球攻撃の打球はファーストへ。バウンドが高く、抜ければあっという間に先取点だが、福浦ボールを掴む。アウト。さぁ、来た。カブレラだ。初球ボール。2球目ボール。3球目もボール。この場面、敬遠もやむなしか…。と思ったら4球目ストライク。5球目を打ってファール。6球目、135kmストレートでカブレラ空振り三振! 晋吾やるなぁ。ノースリーから三振をとるという江夏ばりのピッチングで初回を抑えた。ライトスタンド大歓声。

1回裏。
諸積レフト前ヒットサブロー送りバントの構え。これがキャッチャーフライとなる。落胆のライトスタンド。福浦ピッチャーゴロで諸積2塁へ。ボーリックライト前ヒットで諸積生還。メイの打球は右中間へ。ライト小関走る走る走る。一瞬グラブに収めたが、そのままこぼれる。メイのツーベースで2点目が入る。堀ショートゴロでチェンジだが、幸先のいい2点が入った。

2回表。
和田センター前ヒット。宮地初球を送りバント。きっちり決める当たりはさすが西武。うらやましい。得点圏にランナーが進んでマクレーン登場。ここまでの成績は打率.250の2ホーマーだが、潜在能力を思うとかなり不安。でもまぁ一発出ても同点なのでまだ気が楽だ。やはり先取点というのは大事だ。ストライク。ボール。ストライク。センターフライ。ほっと一息。伊東ファーストフライでチェンジ。

2回裏。
初芝初球攻撃もショートゴロ。清水ショートライナー、小坂レフトフライ。三者凡退。

3回表。
高木浩之セカンドゴロ、松井セカンドゴロ、小関ファーストゴロ。順調に三者凡退。

3回裏。
諸積センターフライ。サブローサードゴロ福浦空振り三振。1番からの好打順も三者凡退。

4回表。
貝塚レフト前ヒット。カブレラショートゴロ。小坂セカンド転送してフォースアウト。しかしゲッツーにはならず1死1塁に変わる。なおも迎えるバッターは3割30本、脅威の和田。ボール、ボールと来ての3球目、センターへの飛球は微妙なところに。サブロー走る走る走る。グラブを差し出す………アウト! ファインプレーに拍手喝采。宮地セカンドゴロでチェンジ。

4回裏。
ボーリックライト線ツーベース。メイのセカンドゴロでボーリック3塁へ。堀サードゴロでボーリック帰れず。2死3塁に変わる。ランナーを置いて初芝。センター前ヒット! ボーリック悠々ホームイン。L0−M3。清水見逃し三振でチェンジ。

5回表。
マクレーン見逃し三振。伊東サードゴロ。高木浩之セカンドゴロで三者凡退。晋吾、万全。

5回裏。
小坂の打球はショートへ。諸積セカンドゴロ、小坂セカンドでアウト。せっかくの俊足なのに盗塁も無しか。サブローセカンドゴロ。福浦フォアボール。ボーリックライトフライ。チェンジ。

6回表。
松井空振り三振。小関センター前ヒット。貝塚もセンター前ヒット。カブレラ空振り三振! 和田ライトフライ。チェンジ。これまではカブレラ・和田の前にランナーを出してやられてきたのだが、ここ2試合はきっちり抑えている。来年もこうなら…。

6回裏。
後藤降板し、数多くいるマリーンズの天敵の1人である三井がマウンドへ。メイライト前ヒット。堀送りバントの構え。打球が死んでおらず、ピッチャー捕ってすかさず2塁へ。ランナーがメイということもあってかアウト。送りバントくらいきっちり決めてくれよ…。特に次は『7番、サード初芝』なんだから…。

さぁ、初芝だ。ライオンズはさすがに懲りたのか、三遊間を思いっきり狭めてくる。ものすごーく久しぶりに見る“初芝シフト”だ。しかし今の初芝にはそのような策すら通じなかった。もはや自由自在とばかりにボールをライトへ打ち返す。初芝の、振り遅れでない右打ちが出るということは、もう手がつけられないほどノリノリであると言うことであろう。1死1,2塁。しかし悲しいかな下位打線。清水空振り三振、小坂レフトフライでチェンジ。

7回表。
宮地空振り三振、マクレーンライトフライ、伊東ライトフライ。三者凡退。やっぱりダメだラッキーセブン。

7回裏。
三井に代わり帆足がマウンドへ。こういうきっちりした繋ぎ方にもライオンズらしさを感じた。先頭の諸積に代打佐藤幸彦。「ゆっきひこ〜」コールで盛り上がるライトスタンド。それに呼応するようにレフト線に弾いた打球は転々とし、ツーベースとなる。次打者サブロー、またもバントの構えからファール。見かねたか、ファーストコーチがサブローのところへ行く。作戦変更を告げに行ったのは明らかである。喝采のライトスタンド。もうバントはいらない。「見せてくれよ、サブローのバッティングを」

思いは通じたか。サブローはストライクの球を1球も見逃さず、必死に食らいついてファールにする。最初のバント失敗も含めて5つ目のファールを放った次の球、今度こそ打球はフェアゾーンの中へと。ライト前ヒットでノーアウト1,3塁。福浦ショートゴロの間にサードの幸彦ホームイン。L0−M4。ボーリックファールファールの3球目、見逃し三振。メイ初球攻撃もセカンドゴロでチェンジ。なんというか、もうちょっとつけ込むような攻撃はできないものか。

8回表。
この回からメイに代わって於保が入る。代わったところにボールは行くの例え通り、高木の打球は於保の前に。レフト前ヒット。さらに松井がセンター前ヒットでノーアウトにして1,3塁。ライオンズとしてはこの試合初めての大チャンスだ。小関ショートゴロ。貝塚空振り三振、カブレラ登場のところでピッチャー交代。一応ここから最後まで投げきればセーブもつくしコバマサか? コバマサなら嬉しいのだが。

わくわくしながら待つ。そしてコールされた名前は『ピッチャー、シコースキー』である。いいのか? 昨日打たれているのにいいのか? 私はシコースキー大好きなので異存はないんだが、なかなか大胆な采配ではないだろうか。昨日の今日だぞ。ここにいる人間のほとんどが記憶しているんだぞ…。これは単なるワンパターンなのかも知れないが、これはこれで意気に感ずるものがあった。そのためだろうか、一塁側各席から聞こえる「ブライアン!ブライアン!」の声も昨日よりなお一層大きかった。

1球目は130キロ台。明らかにストレートのタイミングで待っていたカブレラは体勢を崩して見送る。ストライク。2球目も同様のボール。カットしてファールになったが、遠目にもやりにくそうな事が明らかなカブレラ。そして3球目。打った次の瞬間ヒヤッとしたが、ボールは福浦のグラブにおさまり、ファーストライナーで昨日のリベンジを果たしたブライアン。ダッシュでベンチに向かう後ろ姿に向けて大喝采。

8回裏。
堀レフト前ヒット。初芝サードゴロはセカンドで堀がアウト。1死1塁に代わる。初芝に代走渡辺正人。昨日で懲りたのかな、と苦笑い。清水サードゴロは5−4−3。ダブルプレーでチェンジ。

9回表。
この回からはまた剛球復活で、150キロ台も出る。和田ファーストライナー、宮地粘るもファーストゴロ。あと1人となったがマクレーンにフォアボールを与えてしまい2死1塁。伊東に代打平尾。しかしペースを崩さず剛球を投げ込み、空振り三振に切って取った! ゲームセットだ。勝利投手小野。なんと小野は後半戦初勝利。そして久々、シコースキーにセーブがついた。敗戦投手は許。

リレー完封で2試合連続の胴上げ阻止。本当にM1試合では強かった。このレベルの試合が常にできればAクラスは確実、優勝も夢ではないと思うほど強かった。ライトスタンドで「胴上げ阻止はロッテの美学」と書かれたボードも目にした。伝統、伝説、そんな言葉よりも、確かに美学のほうがふさわしい気がした。私も周囲も連日の勝利に歓喜していた。千葉マリンで味わう勝利は、しかも優勝を目前にしたライオンズに連勝してのそれは格別だった。ひとつ残念なのは初芝のM1試合連続ホームランが3で途切れてしまったことだ。惜しいことだ。

ヒーローインタビューはもちろん小野。今年は不調だったためかどことなく照れくさそうだ。「今年はこういう結果なんですけども、来年はうちがマジック1で、こういう中で投げられたらいいと思うんで、頑張りたいですね」そうだ。いつまでも阻止して喜んでいる場合ではない。今度こそ、来年こそ、俺達のマリーンズが胴上げする番だ。そんな思いを込めて、拍手拍手。一塁側各所からも大きな拍手。

ヒーローインタビューが終わると、小野がこちらへやってきた。ヒーローインタビュー後、今日のヒーローはマーくんと共にライトスタンド前にやってくるのがお約束。「ばんざーい。ばんざーい。ばんざーい」一緒に万歳三唱し、小野はサインボールを投げ込む。ヒーローが内野へと去っても、ライトスタンドの盛り上がりは止まらない。各種応援を再現し、喜びを噛みしめることしきりであった。

誰もがこの瞬間が終わることを惜しみ、終わるならばせめて余すところ無く堪能しようとしていた。その饗宴の最後の〆は、ウルフルズ「バンザイ」の替え歌だった。「ばんざーい ロッテを好きでよかった このままずっとずっと死ぬまでハッピー ばんざーい ロッテを好きでよかった このままずっとずっとラララみんなで」2度繰り返し、ようやく宴は終わった。

帰途、よしたにさんのおすすめで一緒に海浜幕張駅前のケーキ屋「スイートハウスオランダ家」へと寄り道。テイクアウトして新幹線の中で食べようかと思ったが、店内で食べるとドリンクサービスがあったので一緒にいただくことにした。美味しくいただきながら今日の試合を振り返る楽しいひととき。

その後、この予定外の寄り道のため、海浜幕張から東京までは特急に乗った。500円追加するだけなので、快適さから考えればコスト的にはかえってお得だった。そして、京都へ向かうのぞみ号車中にてホークスがファイターズと引き分けたことを知る。明日の試合にはもうあの緊張感や高揚感が残されていないのかと思うと、実に惜しい気がした。例え自分が見られなくとも、マリーンズの選手達にあの緊張感を少しでも多く味わって欲しいと願っていたのだから。

また一方で「明日は負けだな」とも思った。せめて好試合にはなって欲しいとだけ思った。そして案の定、負けた。しかしそんなマリーンズが何より好きである。

L0−M4

勝・小野 3勝7敗
敗・許  8勝7敗
S・シコースキー3勝6敗2S

蛇足になるかも知れないが、3戦目はオリオンのサードスターこと背番号28を継ぐ者、加藤康介が先発であったが、打線の援護無く、惜しい敗戦。きっとまだマジック1のままならば、打線も火を噴き康介もスーパー康介化してノーヒットピッチングでもやってくれたような気がするのだが。

そして、この試合ではライオンズ一同によるレフトスタンドへの優勝報告やらのセレモニーがあったという。そしてマリンビジョンには「ライオンズのみなさま優勝おめでとうございます。日本シリーズ頑張って下さい」のメッセージ。ライトスタンドからの声援等もあったという。これは園川の引退試合で見た光景、ホークスに対して行われたそれの再来だ。いつもいつも、エールを送る側な事を再認識してしまう。

後日、このことについて伊原監督から球団、マリンスタジアム、そして応援団宛に感謝の手紙が届いたという。公式サイトでそれを目にしたとき、私は伊原監督のファンになった。

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