9月12日 ロッテ−日本ハム
(千葉マリンスタジアム)

(京都府・ふさ千明)

プレーオフへ行こう!

2日目

11日の試合後、実家に帰らず球場により近い場所に宿を確保するという舞い上がり方をする。そして12日朝。起きてみると腰に違和感が。「ん?」ちょっと気になったが、だからと言って観戦回避するほどのものではない。というか、ここまで来て観戦回避などあり得ない。昨日のように朝6時着しなくても大丈夫だろうと思い、寝不足回復の意味も込めてゆっくり宿を出た。

コンビニで朝ご飯を仕入れようと中に入った瞬間、目に入ったのは「ロッテ」と赤文字で大きく書かれたスポニチの一面。思わず手に取れば垣内と一緒に万歳三唱するライトスタンドの姿が大きく載せられていた。長時間並ぶのには新聞が必須なので、もともと買うつもりでいたが、これではもったいなくて地面に敷けない。

そこでもう一部、地面に敷くためにと、一番安いワンコイン新聞こと産經新聞を購入。しかし、後で中を見てみたら、こちらもスポーツ面にはスポニチ同様の写真に加え、もう一枚垣内が打った瞬間の写真まで。一般紙でまで大きく扱われていることに驚きながら、当然これももったいなくなったが、キリがないのでそれ以外の部分を分けて使うことにする。

さて。仕入れも終わり、幕張本郷駅からバスに乗ろうとしたら、マリンスタジアム行きがなく、すべて海浜幕張どまり。まぁ、確かに普段はこんな時間から球場に行く奴もそうはいないだろうが…。やむなく海浜幕張で降り、球場までは歩いていこうかと思ったが、球場へ向かう人数のあまりの多さに慌ててタクシーに乗った。

運転手さんも道行く人を見て驚いたようで「今日は何かあるんですか?」と質問を受けてしまった。昔そう言えば似たようなこと聞かれたなぁと思いながら「プレーオフがかかった試合なので、今から並ばないと」と言う話をしたら「巨人戦並みですね」と言われてしまった。素直に喜んでおいた。元々歩いていける距離なので、あっという間に到着。着いてみて驚いたのだが、昨日より明らかに初動が早い。これも勝利の効果なのか、一面掲載の効果なのか。

この時まだ朝の8時前だったのだが、その時点での人数が昨日を遥かに凌駕している。駐車場を見れば、来ている台数の多さもさることながら、昨日はまだ来ていなかったキッチンカーが、台数一台増やして既に待機していることに気づく。総じて言えることは、球場中のテンションがやたらと高いということである。そんな状態なので、並ぶ位置も昨日よりだいぶ後ろになってしまった。

しかし、そんな前代未聞の状態にも関わらず混乱はなく、昨日同様定時のチケット販売&開門。ただ、内野と外野を隔てるゲートは1時間近く閉じられたままで「今向こうに行くとしばらく帰って来られませんがよろしいですか?」と聞かれる始末。さらに、この日はついにライトスタンドに入りきれなくなったマリーンズファンが3ブロック分レフトスタンドにはみ出した。ここで観戦するようになってもう10年以上になるが、こんな光景は初めて見た。全ては昨日の勝利の賜物だろう。

勝てば人気が出る。みんな強いマリーンズを待っていたのだ。そして何よりも、合併問題が関心に火をつけたことは間違いない。鉄道が「乗って残そう」ならマリーンズは「見に来て残そう」である。史上初めて年間観客動員150万を突破したことを、経営陣はどう思うのだろう。

その後、昨日同様よしたにさんと合流。その友人の方と三人での観戦となった。厚かましくお願いして、キッチンカーで昨日扱っていなかったアップルパイを買ってきていただく。それどころかよしたにさんは一緒に観戦した8/28のDVDを。ご友人はマリーンズの応援を録音してまとめたCDを「どうぞ」と私にくださった。ありがたい話である。

そうこうしているうちに、昨日の試合を振り返る映像がマリンビジョンに流れる。ワンプレーワンプレーに歓声が上がり、拍手が起こった。そして、ラストシーンには立ち上がって拍手する者まで現れた。まるでミニシネマだ。しかし、それもこれも今日勝たなくては意味がない。今日勝てば、残り試合数が2も少ない状態にも関わらず、プレーオフマジックが点灯するのだ。今までよそ様のマジックにばかり関わってきたマリーンズに、何十年ぶりかに…。そんないつもと違う雰囲気の中、スタメン発表。

先攻のファイターズ
1番センターSHINJO、2番セカンド木元、3番サード小笠原、4番DHセギノール、5番キャッチャー高橋信二、6番ファースト小田、7番レフト島田、8番ライト坪井、9番ショート金子、ピッチャ−入来。

後攻のマリーンズ
1番ショート小坂、2番セカンド堀、3番ファースト福浦、4番センターベニー、5番DHフランコ、6番レフト垣内、7番キャッチャー橋本、8番サード今江、9番ライト平下、ピッチャー小宮山。

入来対小宮山というのは何年か前に横浜スタジアムであったような…そんな数奇な運命が不思議ですらある。パリーグ最年長投手小宮山。しかし優勝争いの経験は少なく、そこに一抹の不安が残った。

マリーンズファンとしては昨日の英雄垣内の6番が何より頼もしい。微熱があるにもかかわらず点滴を打って試合に臨む小笠原には敬意を表したいが、昨日のような状態ならば…。本人も周囲もつらいだろう。察するに余りある。ベンチに下がって勝負所で代打という選択肢もあっただろう。しかし、出てきた以上はマリーンズも容赦なく行く、と言う厳しさを今日の試合では見せて欲しいと思った。

今日も、シーズンシート以外には空席はない。立ち見は昨日よりも多い。日当たり良く汗ばむような陽気で、コンディションも上々。決戦の舞台第二幕、プレイボール。

1回表。
SHINJOファーストゴロ、木元レフトフライと小宮山順調だが、小笠原にフォアボールを与え、二死一塁とする。セギノールの打球はセカンドへ。これを堀がうまくさばけず内野安打にしてしまう。二死一、二塁でバッターは高橋信二。奇しくも昨日と同じシチュエーションである。初球攻撃! 打球は鋭かったが、ボールは小宮山のグラブにダイレクトで収まった。無事チェンジ。

1回裏。
小坂、ボールのあとの2球目をセーフティバント。小笠原は完全に虚を突かれた形になり、小坂は悠々セーフ。こういう野球が見たかった! 堀の初球、エンドランを仕掛けるもバットが空を切り、飛び出した小坂そのままセカンドへ向かうもタッチアウト。「どうしてこうかなぁ」

ランナーいなくなって堀、引っぱりにかかる。痛烈な打球が三遊間へ飛ぶ。上がった歓声を溜め息に変えたのは、小笠原だった。先ほどの雪辱とばかりにダイビングを敢行し、見事キャッチ。まさに「ガッツ」の名に恥じないプレーだ。福浦はライトフライで、結局この回三人で終わる。チェンジ。

2回表。
小田、センターバックスクリーンへ放り込む先制ソロアーチ。1−0。島田ライトオーバーツーベース。坪井の打球はマウンドに当たってバウンドが変わり、セカンド堀の前に落ちるラッキーなヒット。これで無死一、三塁。チャンステーマの「北の国から」が流れる中、金子の打球はゴロで三遊間へ。 これを小坂が捕球。サードランナーは動けず、ボールはセカンドに転送されてフォースアウト。場面は一死一、三塁に変わる。

続くSHINJOが綺麗にレフト前に運んでサードランナー生還。2−0。さらに木元もレフトフェンス直撃のツーベース。ランナー二人帰って4−0。小笠原にはストレートのフォアボールを与えて一死一、二塁。それでもセギノールをライトフライに打ち取り二死一、二塁。

そして。高橋信二の打球はセンター前へ。これをベニーが回り込んで捕球しようとするが弾いてしまう。平下がフォローして返球するも、セカンドランナーホームインで5−0。ランナーもそれぞれ進塁して、これで二死二、三塁。ここで小宮山無念の交代。セラフィニがマウンドへ。小田がセカンドゴロでようやくチェンジだが、5点は大きい。唯一の救いは、まだ8イニングも攻撃できると言うことくらいだが。

2回裏。
大量得点したので、ファイターズ応援団は忙しく打点を挙げた選手たちの名前をコールしていた。しかし、今日はこちらも絶望してはいられない。先頭のベニー、小田の頭上を抜くライト前ヒット。フランコ垣内連続フォアボールで無死満塁。

さっそくのチャンスに橋本はレフトへの大きな打球。スタンドには届かないものの十分な犠牲フライ。ベニーホームインで5−1。その上ランナー全員タッチアップして一死二、三塁。こういう場面での全員タッチアップなんてマリーンズがやったのは初めて見たかも知れない。確実に何かが変わってきているのは間違いないようだ。

チャンスは続いて、バッターは今江。バットを折りながらも力と執念でセンター前に運ぶ。フランコ、垣内と続いてホームイン。2点タイムリーで5−3。なお一死一塁と、畳み掛けたいところだったが、平下空振り三振、小坂センターフライでチェンジ。相手がくれたチャンスに…歯がゆいが、一挙逆転はいささか欲張りすぎたか。すぐに取り返したのは大きいと、思考を切り替えた。

3回表。
島田粘ってフォアボール。坪井セカンドゴロはセカンドフォースアウトのみ。金子フォアボールで一死一、二塁。SHINJOサードゴロ。5−4−3と渡ってダブルプレー。

この後、3回裏、4回表、4回裏と両軍ゼロで回は進む。

そして5回表。
先頭の小田、左中間を破るツーベース。島田凡退して一死二塁。坪井、左中間へタイムリーツーベース。6−1。セラフィニ交代。神田が登板。金子に初球を打たれ、センター前に運ばれる。坪井がホームインして7−1。一死一塁。SHINJOショートゴロ。セカンドへは送球できず、アウトはファーストのみ。

木元のところで高木にスイッチ。ピッチャーは昨日同様遠慮なくつぎ込む腹らしい。しかし、まだ5回だ。残りイニングとベンチのメンバーを換算したが、どうにも不安がある。ピッチャーは足りるのだろうか。最悪の場合、ベンチには先発要員ながら渡辺俊介が入っているが…。という不安をよそに、木元は空振り三振でチェンジ。高木、Good job!

5回裏。
この回先頭今江の打球はサード方面への高いバウンド。小笠原ジャンプするも一歩及ばずボールはレフト線を転々とする。平下センターフライで今江はサードへ進んだ。一死三塁。小坂センター前へのタイムリーヒットで今江生還。7−4。なおも一死一塁で上位打線と希望の持てるシチュエーションだったが、堀・福浦と連続三振でチェンジ。

6回表。
小笠原空振り三振。セギノールライト前ヒット。高橋信二ライトフライ。小田フルカウントからフォアボールで二死一、二塁。バッター島田の場面で高木降板。マウンドには山崎が上がる。島田は初球を打ってサードファールフライ。今日はストッキングの長いあの人がいなかったので悲鳴は上がらなかったが、こんなときでもちょっと物足りなさを感じてしまった。今江もなかなか危なかっしかったので後継者の資格は十分なのか。昨日に続いて山崎、一球でピンチをしのぐ。

6回裏。
ベニーの打球は速く強くレフトの頭を越す。当たりが強すぎて島田はあっさりとボールを掴み、ベニーは一塁ストップ。フランコレフトフライ。垣内ファールで粘るも最後はハーフスイングをとられて空振り三振。橋本センター前ヒットで二死一、二塁。今江ショートへの深い打球。これで二死満塁となり、入来ついに降板。ピッチャー清水。

左が出てきたためか、ボビーもベンチを出た。バッター平下に代わり、サブロー。この代打策が的中し、サブローの打球はセカンドベース上を鈍いバウンドで跳ね、センター前へ。このタイムリーヒットでベニー生還。7−5。しかしSHINJOが好ダッシュを見せて浅い位置でボールを掴んだため橋本は帰れず二死満塁。

押せ押せムード漂う中、ここまで二安打の小坂に代えて、バッターボックスには西岡が入った。期待の西岡だったが、惜しくもセカンドゴロでチェンジ。無念の声が球場内に満ちた。それでも、ビッグイニングはないが、なんとかコツコツ返している。それはまるで大型連勝こそなかったが、コツコツと勝ちを積み上げることによって最大12まであった借金を完済したマリーンズの今シーズンそのものの姿であった。

7回表。
「Go! Go! ファイターズ」が流れる場内。レフトスタンドを見れば、マリーンズファンが3ブロックも占拠しているため立ち見のファイターズファンが多数散見され、何かこう、非常に申し訳ない気持ちになる。いつもならこんなことはないのになぁ。そしてまた、いつもこうだったら、パリーグの危機なんて言う言葉は死語にできたのになぁ、と言う思いにも駆られた。

坪井見逃し三振。金子の打球は打ち取った当たりだったがサードベースに当たってぽーんと跳ね上がりラッキーなヒットとなった。一死一塁。バッターはSHINJO。嫌な雰囲気になったが「もうスーパー剛志君(世界不思議発見参照)は使い切っているから大丈夫ですよ!」と黒金ヒロシの安心理論並みに根拠のない言説を吐く私。これが当たってしまい、SHINJOセカンドゴロで金子がフォースアウト。ファースト転送は間に合わず二死一塁。

ピッチャーは藤田に代わり、木元をピッチャーゴロに打ち取ってチェンジ。昨日は「ピッチャーは頑張っている。バッターも頑張れ!」だったが、今日はピッチャーの頑張りにバッターも応えつつある。あと少しだ、頑張れ!

7回裏。
ウィラブマリーンズから風船飛ばし、そしてTake me out to the ballgameへ。昨日同様、いつもの変わらぬ流れだが、昨日より人数が多い分盛り上がりは今日の方が上かも知れない。来年はこういう状況下での試合をもっと見たいものだ。この回からファイターズのピッチャーは井場に。昨日の余韻が残るこのマウンド。心中はいかばかりだろうか。

堀フォアボール。福浦ライトフェンス直撃のツーベース。これで堀が帰れないというところに坪井の守備力を垣間見た思いがする。ともあれ、無死二、三塁。バッターは現時点でのマリーンズ最強打者ベニー。ライトへの大きな飛球は坪井のグラブへ。これが犠牲フライになって堀ホームイン。これで7−6。

福浦もサードへ進み、一死三塁。犠牲フライがもう一本、どうしても欲しかったが、フランコの打球はセカンドへのゴロ。福浦帰れず二死三塁に変わった。垣内もショートゴロでチェンジ。あと一点。

8回表。
小笠原空振り三振。ピッチャー、藤田から薮田に。昨日のように延長になったら本当にピッチャー足らなくなるんだが、どうするのだろうか。薮田、セギノールに当ててしまう。一瞬不穏な空気が走り、脳裏には先日のセラフィニ対ズレータの乱闘シーンが浮かんだが何事もなく。セギノールは肩怒らせてベンチへと戻り、代走石本が告げられた。高橋信二ショートゴロ。西岡セカンドへ送球し、ファーストはセーフ。二死一塁。小田は止めたバットにボールが当たりピッチャーゴロ。チェンジ。

8回裏。
ファイターズのピッチャー、井場から佐々木に代わって、マリーンズも橋本を里崎に代えた。また、守備位置も大きく変わり、木元がサードに、小笠原がファーストに回って、小田のところには奈良原が入ってセカンド。島田のところに森本が入ってレフト。ヒルマン監督、二の轍は踏まないということか。

先頭の里崎センターライナー。今江の高い打球は逆風に戻されてレフトフライ。サブローフォアボールで二死一塁とするも、西岡レフトフライでチェン ジ。大きいのを狙い過ぎなのか、うまく打たされているのか、いずれにしてもつらい展開だ。

9回表。
サブローに代わって諸積が守備についてセンター。センターのベニーがライトに入った。この采配は意図するところがよく分からなかったが、これが最後にとんでもない演出をすることになった。しかしこの回はセンターにはボールが飛ばず、島田ライトフライ、坪井サードファールフライ、金子空振り三振と、無事三者凡退でチェンジ。今日も薮田は、いや、ピッチャーたちは最善を尽くした。あとは逆転を信じるのみである。

9回裏。
ファイターズは横山登場。ライトスタンドからは昨日の再現を願って「ミラクルマリーンンズ!」の大合唱。今だから分かるが、横山、さぞやりにくかったことと思う。そのためかコントロールに乱れが生じ、ボール連発。堀も慎重にそれを見極めて今日三つ目のフォアボール。無死一塁でバッター福浦。3球目の後の牽制が悪送球。ボールがファールゾーンを転々とする間に堀は一気にサードを陥れる。無死三塁。来た。山場だ。先ほどまででも十分高かったボルテージがさらに上がり、昨日の8回裏に倍する声援がマリンスタジアムに響いた。

「♪俺らは叫ぶ〜打て福浦打て福浦〜声援受けて打て福浦打て福浦〜」
この歌を知っている人も知らない人も、一緒になって手を叩いて声を張り上げて、願いを込めた。4球目ストライクでカウントツーツー。5球目はファール。そして6球目。打球はぐんぐんこちらに向かってきた!スタンドには一歩及ばず坪井に捕球されたが、犠牲フライには十分すぎる。堀は悠々ホームイン。これで7−7。昨日同様、ついに同点に追いついた! ミラクルマリーンズ再び!

今日は特に最大5点差をよくぞここまで…という思いがあるので、喜びも昨日以上だ。場内のどよめきが消え去らぬ中、サヨナラ勝ちへの期待を込めて更なる声援を送ったが、ベニーフランコと連続セカンドゴロでチェンジ。さぁ、2日連続の延長戦だ。

10回表。
先頭のSHINJOライトフライでワンナウト。次打者木元への5球目、打球はサードのファールゾーンへ。今江追うも捕れず、この後結局フォアボール。これで一死一塁。小笠原は空振り三振に切ってとるも、石本にはフォアボールを与えて二死一、二塁。このコントロールの乱れはもう限界なのか…。

迎えるバッターは何度となく痛い目にあってきた高橋信二。結局ピッチャー薮田に代わり、小林雅英に。昨日2イニング投げているのが不安材料ではあるが、もうそんなことは言っていられないのだろう。ここは全てを託すしかない。1球目ボール、2球目ファールの後の3球目、打球は内野の頭を越え、セカンドベース後方で跳ねた。センター前タイムリーヒット。その上、諸積がボールをこぼしてしまい、処理の間に石本も長駆ホームイン。9−7。嘆声、怒号、悲鳴。先ほどの歓喜が一転する。

ここで「サブローを代えてなかったら」というのはあまりに残酷だろう。しかし、現実はもっと残酷だ。まだ試合は終わっていない。絶望するにはまだ早い。気を取り直してゲーム再開。奈良原初球を打ってセカンドゴロでチェンジ。ベンチに引き上げるマリーンズナインの背に「ミラクルマリーンズ」の声援は届いていただろうか…。

10回裏。
この回は昨日のヒーロー、期待の垣内から。ワンスリーから打って出た打球は、上がり過ぎのセンターフライ。里崎レフト前ヒットで一死一塁。今江も垣内のような上がり過ぎのセンターフライ。諸積には代打イ・スンヨプ。初芝ではないことを嘆きながらも、出てきた以上は期待するしかない。宝くじの当選発表を待つような気持ちで、いや、もっと切羽詰まった祈りを込めて。「イ・スンヨ!イ・スンヨ!」と叫ぶ。しかし、チーム同様、後少し何かが足りず、フェンス際のライトフライ。スタンドには届かなかった。これでゲームセット。無念。

無念ではあるが、しかし。マリーンズもよく戦った。初めて経験するであろうプレッシャーに押されながら、よく戦ったと思う。この2連戦、1勝1敗。2試合で21イニング。まさに死闘だった。この先がどうなろうと、来年更なる高みを目指してくれれば良い。素直にそう思えた。それだけでも来てよかった。

帰途、キッチンカーでコーヒーを買い、一息入れてから海浜幕張までの道を不思議な余韻に包まれて歩く。負けたのに、なんで清々しいのだろうか。なんで 悔しくないのだろうか。マリーンズにとってこの上なく大事な試合だったのに。なんでだろうか。もちろん、うまく言葉にできないだけで、答えは分かっていた。

ちなみに。起床時に違和感だった腰はその後鈍痛を伴うようになり、専門家に見てもらったところ「ぎっくり腰直前」と言われ、その後治療にだいぶかかってしまった。座席夜行での移動がきつい歳になったか…といささか感慨深かったが、それでも必要があれば、またながらに乗って場所取りをするだろう。この2試合を見て得たものはあまりに大きかったから…。

勝利投手  横山  4勝5敗27S
敗戦投手  薮田  3勝4敗 2S

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